億超えが続く東京都心部の中古マンション(写真は港区の麻布台ヒルズ周辺/共同通信社)

 マンション価格の高騰が続いているが、あまりにも高くなり過ぎて、東京都心部の高額物件に関しては簡単には買い手がつかず、売れ残りが増加。そのため、価格改定、つまり値引きされる物件が増えているという。これから先、都心のマンション市場はどうなるのか。住宅ジャーナリストの山下和之氏が、不動産情報の東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の高橋雅之氏に聞いた。

「29カ月連続上昇」が続く都心6区の中古マンション

 2025年6月の首都圏中古マンション価格の70m2当たりの平均価格は5851万円で、前年同月比は26.4%、前月比は3.0%の上昇となっている。

 中でも東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)はひときわ上昇率が高い。【図表1】にあるように平均価格は1億6415万円で、前年同月比36.1%、前月比0.5%のアップだった。都心6区の前月比での上昇は実に29カ月連続となった。

 それに対して城南・城西6区(品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、練馬区)は8623万円で、前年同月比が19.8%、前月比1.7%の上昇。城北・城東11区(上記以外の区)の平均は6703万円で、前年同月比が24.4%、前月比2.0%のアップだった。

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 都心6区は、東京23区のなかでもずば抜けて価格水準が高く、前年同月比の上昇率も高くなっている。

 しかし、あまりにも急速に中古マンション価格が高くなり過ぎたため、変化の兆しも見られるという。東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の高橋雅之氏はこう語る。

「都心6区は周辺エリアも含めてこの数カ月は上昇が続いていますが、都心部に限っては24年秋以降に在庫が増加し、価格改定の動きが広がっていることから、価格上昇トレンドにブレーキがかかり始めています」

 それを示すのが【図表2】のグラフだ。青の折れ線グラフは「価格改定シェア」で、各月の中古マンション継続流通戸数(総計から新規分を差し引いたもの)のうち、直近3カ月において、一度でも値下げを行った住戸の割合を意味している。

 つまり、市場で継続して販売されている物件のうち、値下げされた物件が何%あったかという指標だ。価格改定シェアが高いほど、簡単には買い手がつかず、売れ残っている物件が多くなっていることを意味する。

 都心6区の価格改定シェアは2024年6月に28.8%だったのが、同年11月には32.3%と30%台に乗せ、6月には37.4%まで上がっている。継続して販売されている中古マンションの4割近くが値下げを行っているわけだ。

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