フランスのバイル首相は8月31日、自国の命運が約1週間後に実施される内閣の信任投票に懸かっていると述べた。投票の結果、内閣総辞職につながる可能性は高い。
バイル氏は仏国内の主要ニュース4局とのインタビューで、「問題は首相やフランソワ・バイルの運命ではない」とした上で、「政府の命運ですらない。問われているのはフランスの命運だ」と語った。
フランスは、歳出削減案を巡る行き詰まりの打開を目指してバイル氏が信任投票を9月8日に実施する方針を表明して以来、深刻な政治危機に陥っている。総辞職を免れるには、バイル首相はそれまでに極右や左派の議員に少なくとも棄権するよう説得し、反対票を投じる考えを撤回させる必要がある。
バイル仏首相
Photographer:Nathan Laine/Bloomberg
週末には、国民連合(RN)のバルデラ党首や社会党のフォール第一書記など、野党の有力政治家らが相次いで立場を改めない考えを表明。バイル氏が今週の実施を呼びかけた会合には礼儀として出席するが、姿勢は変えないとしている。
バイル氏はすべての政党に協調を呼びかけているが、成功の可能性は低いと認めた。「妥協は美徳だ」としながらも、「ただ、それが可能かどうかは分からない」と語った。
9月にはストライキも予定されており、バイル内閣が退陣すれば、マクロン仏大統領は再び行き詰まりに直面することになる。昨年の解散総選挙以降、議会は「宙づり」状態が続き、フランスはユーロ圏最大の財政赤字を抱えている。
バイル氏は7月に440億ユーロ(約7兆5600億円)規模の歳出削減と増税を提案。財政赤字の対国内総生産(GDP)比を今年予想される5.4%から、26年には4.6%に引き下げるために不可欠な措置だと主張した。だが政局不安の高まりで、企業の採用や投資は停滞し、経済回復の芽も損なわれつつある。
過去1週間の市場の動揺で、フランスとドイツの10年債利回り格差は1月以来最大の80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超に拡大。8月29日は79bp付近で推移した。
原題:France’s Fate at Stake in Sept. 8 Confidence Vote, Premier Says(抜粋)
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