ドイツのメルツ首相は8月31日、ウクライナでの停戦実現について希望を捨ててはいないものの、「幻想も抱いていない」と述べた。

  独公共放送ZDFとのインタビューでメルツ首相は「この戦争が長期化する可能性に向けて心の準備をしている」と語った。

Bodies Recovered Near Dobropillya, Frontline Village In Ukraine's Donetsk Region

兵士の遺体を確認するボランティアの捜索隊(ウクライナ、8月23日)

Photographer: Nikoletta Stoyanova/Getty Images

  ロシアによるウクライナ全面侵攻は4年目に入り、欧州での戦争として第二次世界大戦以降最長となっている。

  メルツ首相は「歴史を振り返ると、戦争が終わるのは基本的に二つの可能性しかない。一つは片方の軍事的敗北だが、現時点ではロシアやウクライナにその兆候は見られない。もう一つは経済や軍事面の疲弊だ」と述べた。

  また、戦争は「ウクライナが降伏して独立を失えば明日にでも終わるだろう」とし、「だがその翌日には次の国が順番に狙われ、その翌日にはわれわれの番になる。それは選択肢にはならない」と強調した。

  さらに、外交的解決について「長期的なプロセス」になり得ることを理解しているが、米国の協力を得たい考えを改めて表明した。

  「この問題を解決するため米国にはできる限り長くわれわれと協力してもらいたい」とした上で、「外交とは、一晩でスイッチを切り替えれば全てが再び順調になるようなものではない」と指摘した。

  トランプ大統領による和平の取り組みが停滞する中、メルツ首相は悲観的な見方を一層強めている。ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領の会談が行われることはもはや期待していないことを示唆している。

原題:Merz Sees War in Ukraine Dragging On With No Clear End in Sight(抜粋)

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