日本対カナダ 試合後、観客の声援に手を振り応えるディアンズ(撮影・山本朝陽)
<ラグビー・アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ(PNC)2025:日本57-15カナダ>◇30日◇1次リーグ◇ユアテックスタジアム仙台◇観衆1万1187人
6年ぶりの優勝を狙う日本(世界ランク13位)が白星発進を決めた。8トライを挙げてカナダ(同24位)を57-15で撃破。87年以降の主要大会で最年少となる23歳4カ月19日で共同主将を務めたロックのワーナー・ディアンズ(23=ハリケーンズ)は1トライを挙げ、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、65)からは“リーチ超え”を期待された。環太平洋6カ国対抗戦の頂点に向けて次戦は、6日(日本時間7日)に米サクラメントで米国(同18位)と2戦目に臨む。
◇ ◇ ◇
寡黙な男が、いつも通りプレーで示した。10-10の前半38分。ディアンズはゴール手前5メートルで待ち構えた。速攻からボールを受け、両軍最長身201センチを生かして突進。屈強な相手をはじき、主将デビュー戦を自らのトライで飾った。「プレーで引っ張る」と宣言した通りの姿を披露。「試合前はいつもより緊張した」と若々しく笑いつつ「良いスタートを切るため、大事な試合。今後に向けて良かった」と淡々と喜んだ。
珍しく、態度で示した。チームは前半、前に出て防御をするなど反則を連発。いつもは指示を待つが、この日は違う。主審と話し合いを重ね、仲間に「下がれ!」と声をかけた。ハーフタイムには「1人1人でプレーしようとしすぎている。ワンチームで、全員のためにプレーしよう」と語りかけた。前半8の反則が、後半4に半減。攻撃も加速し、計8トライを重ねた。言葉で、プレーで、勝利に導く。23歳の姿が、偉大な先輩と重なっていた。
W杯2大会でチームを束ねたリーチ・マイケル(36)。21年春のBL東京入団時から、主将の代表格を見て学んできた。今大会は個人的な事情で不参加のベテランから推薦を受け、フッカー原田衛(26)とともに共同主将に就任。「リーチさんもパフォーマンスでチームを引っ張るスタイル。自分も普段はあまりしゃべりたくない」。その姿を思い浮かべつつ、平均26・1歳のチームを引っ張った。
人生初の大役を終え、ジョーンズHCから「手本となる選手で、素晴らしい働きだった。リーチ以上になれる素質がある」と高く評価された。その要因は、まさに自らの分析通り。「あまり口数は多くないが、コメントが単刀直入。リーダーとして必要な素質を持っている」と期待された。
リーチは14年4月、25歳で主将に就任。歴代2位の89キャップを積み上げた。自身は23歳で、24キャップで、壁は高い。まずは、主将として1つ目の頂点を目指す。【飯岡大暉】
WACOCA: People, Life, Style.