8月24日、東京の羽田空港で、トランプ米大統領との首脳会談のためワシントン行きの大統領専用機に搭乗する李在明大統領(右)と金恵景夫人(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)

 韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領がアメリカのトランプ大統領と行った初の首脳会談について、韓国国民とメディアから「成功的」という評価を得ている。

 会談直前には破局の兆しさえ見せた米韓首脳会談だったが、いざ首脳会談が始まってみると友好的な雰囲気の中で進んだことで、“感性的”な韓国人が高く評価した。

 ただ、李大統領と同行した韓国の大企業のトップらが再び1500億ドルの投資を約束したことや、両首脳の合意事項を盛り込んだ共同宣言文が出ていない点を考えれば、内容面では成功とは程遠い会談だったという批判も出ている。

トランプ氏の著書で「取引の極意」を予習

 強硬な反日・反米主義者だった李在明氏の大統領就任後の“変身”は、まさに目覚ましいものだった。彼は韓国の歴代大統領の中で初めて訪米より先に訪日を実行し、石破茂首相と和やかな場面を演出した後、米国を訪れた。そしてトランプ大統領に果てしなくお世辞を述べることで「李在明大統領は偉大な指導者」というリップサービスを引き出すことに成功した。

8月23日、訪米前に訪日し、石破茂首相と会談した李在明大統領(写真:共同通信社)

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 ニューヨークタイムズは「(トランプ氏の著書である)『取引の極意』を勉強した李大統領が称賛攻勢で勝ち点を上げた」と分析した。ただ、彼の「勝ち点」が韓国の国益につながるのか、筆者は強い疑問を抱いている。

 通常の首脳会談は、両国の実務者同士が事前に議題を整理し、両国首脳の意見をある程度折衝して、共同宣言文の草案が作成されている。そのため本番の首脳会談は、両首脳が実際に会う場面を演出し、共同宣言文を発表するパフォーマンスをするだけという場合が多い。だが、ずる賢い事業家出身のトランプ大統領は特有の「取引の極意」で韓国大統領を徹底的に翻弄した。

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