全行程1400kmの大冒険、今年も
普段使いのために現代っぽいクルマも所有しているが、一方では旧いクルマも20代のはじめからずっと持ち続けている。
現在の愛車、1968年式のMG-Bマーク2もすでに所有してから10年が経過している。当然のように雨漏りしているので、普段は晴れの日限定で走らせているのだが、年に一度だけ挑戦しているロングドライブのイベントがある。
筆者が10年所有している1968年式のMG-Bマーク2。 小河昭太
1973年以前のイギリス車をフィーチャーしたラリーイベント『ブリティッシュ・クラシック・マラソン(BCM)』である。今年で32回目、毎年春に1泊2日で開催されているレギュレーショナルラリーは愛知県岡崎市をスタートし、石川県や福井県の日本海側を巡り、再び岡崎に戻る行程で、走行距離は700kmあまり。
それだけでも齢半世紀以上というクルマたちにとってはなかなかの試練だが、筆者のように関東地方から参加するオーナーもいて、その場合はさらに往復700kmほどが加算されることになる。
このロングドライブを楽観的に捉えるならば、高速道路を一定のスピードで走るのはクルマにとってそこまで辛くない。10km走れるなら100km走るのも難しくない(?)、というわけ。
だが経験則から言えば、それだけの距離を走れば何かトラブルが起こることも当然ある。そのために旧車乗りは、スペアパーツや工具を常備していたりするのだが。
今年はAUTOCARの若手編集部員オゴーをナビゲーターに招聘し、まだ夜の明けない新東名高速を西に向かったのである。
ゼッケンで勇ましさ倍増、そして本州横断
筆者がBCMに初参加したのは1995年のこと。当時クラシックカーのイベントは集って旧交を温めるだけの、いわゆる『置き』のスタイルが多かった。現在ではそれなりの距離を走るラリーイベントも増えてきたが、BCMはその草分け。今年のスタート地点は『一畑山薬師寺 岡崎本堂』だった。
参加車両は70台ちょうど。毎年のように参加しているベテランもいるが、少しずつ若手の参加者も増えている。スタート順は年式が古い車両から。オースチン・セブンやMG-TCといった戦前のモデルからスタートを切っていく。配られたゼッケンやらラリープレートを貼ると、MG-Bはいきなりラリーカーっぽいいで立ちになった。そんな我々のスタートは58番目。つまりクラシックカーの中では新しめということになる。
スタート地点の『一畑山薬師寺 岡崎本堂』では道中の安全を祈願するお祓いから始まる。 小河昭太
レギュレーショナルラリーはスピードを競うものではない。法定速度を守って走りつつ、各チェックポイントを主催者が設定したタイムを予測しながら、走っていく。その途中にクローズドコースで行われるタイムトライアルやスペシャルステージも用意され、そのポイントもリザルトに加味される。
初心者にとっては『想像力』とか『運』がないと勝てないように思えるのだが、毎年上位に入ってくる顔ぶれが一緒ということからもわかる通り、戦い方の法則は存在するらしい。
とはいえ参加者が皆、競技に没頭しているわけではなく、夫婦や友達同士でペアを組んでロングツーリングやクルマ好き同士の交流を楽しんでいる人も少なくない。テキトー? いやいや分別をわきまえたオトナのラリーイベントなのである。
紆余曲折が生む次回へのモチベーション
画像 正統派な英国のクラシックな名車たち 詳細をみる 全183枚

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