公開日時 2025年08月31日 05:00
福島県双葉町から埼玉県加須市に避難を続ける菅本章二さんが暮らす「みなし仮設」=4月
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琉球新報朝刊
東京電力福島第1原発が立地する福島県大熊町、双葉町からの避難者815人が、7月1日時点でなお25都府県にある仮設住宅513戸に入居していることが福島県への取材で分かった。県は仮設住宅の無償提供を来年3月で原則打ち切る。双葉町の一部で避難指示が解除され、住民帰還が始まって30日で3年。解除で生活環境が整うめどが立つとの理由だが、多くは限られた期間で退去や家賃負担を迫られ、継続的支援が課題となる。
仮設住宅は、自宅が全壊するなどした被災者に自治体が無償提供する仮住まい。現在、避難者の多くは自治体が民間や公営住宅を借り上げる「みなし仮設」で暮らす。
県の記録では2014年末、最大約10万2千人が4万3700戸の仮設住宅に入居していた。大熊、双葉両町以外からの避難者については、避難指示が解除され、住宅や買い物施設などの整備が進む見通しが立ったなどの理由で、20年3月までに一部を除き仮設の提供を終了している。
25都府県の513戸で最多は福島の307戸。県外では東京の61戸が最も多く、埼玉(41戸)、新潟(19戸)、茨城(16戸)、神奈川(15戸)が続く。
県は、26年3月末で両町でも無償提供を終了する方針。延長要望を受け、自宅再建が決まりながら期限までに工事を完了できない場合に限り、27年3月末まで1年間延長する。ただ対象は数十戸程度にとどまる見通しで、多くは半年余りの間に転居や家賃の支払いなどを決断しなければならない。
仮設住宅の入居者は高齢者の割合が高く、多くが避難先での生活再建を希望している。県は、茨城や新潟など8都県のNPO法人や公益社団法人に委託し、不動産屋に同行したり、引っ越しの契約を手伝ったりと、避難者の住まい確保に向けた支援に取り組む。
県の担当者は「未退去や家賃未払いにならないよう各自で生活再建してほしい。できる限りの支援はするので、困ったら県の事業を利用してもらいたい」としている。
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