チェコスロバキアン・ウルフドッグは、ヨーロッパでペットとして人気が高まっている。この犬種はジャーマン・シェパードとヨーロッパオオカミのDNAを受け継いでいる。(Photograph by Jasper Doest)
すべては「一目惚れ」から始まった、とアレッシオ・カマッタ氏は語る。イタリアのベネチアを見下ろす丘の中腹の町に住む建設作業員のカマッタ氏は、2006年、愛犬のジャーマン・シェパードをよくある遺伝子疾患で亡くした後、より元気な新しいペットをネットで探していた。
ほどなく、カマッタ氏はあるウェブサイトを見つけた。そこでは、威圧感がありながらも美しい犬種、チェコスロバキアン・ウルフドッグが売られていた。「1カ月後、私は子イヌを迎えに行きました」と、氏は言う。その子イヌはメスで、氏は800ユーロ(約14万円)で購入して「ウーマ」と名付けた。
4月上旬のある晴れた日、氏は5匹のイヌを囲うために建てた高さ約3.5メートルの立派な金網の囲いの外に立ち、この犬種を飼うことに対してどれほど準備不足だったかを笑いながら語った。「皆さん、真似しないでくださいね」と、氏は冗談めかして言う。
チェコスロバキアン・ウルフドッグは物議を醸す犬種だ。チェコスロバキア軍の軍用犬として飼育され、ジャーマン・シェパードと、タイリクオオカミの亜種であるユーラシアオオカミのDNAをあわせもっている。
チェコスロバキアン・ウルフドッグは今日、ペットとして世界中でますます販売されるようになった、オオカミとイヌの数多くの交雑種のひとつだ。最大の体重はグレート・デーンに匹敵し、その性格は時としてイヌよりもオオカミに近く、手がかかり、稀に飼い主の命を奪うことさえある。
ブリーダーのアレッシオ・カマッタ氏とドッグトレーナーのエリカ・チェーザリ氏が、2025年2月、北イタリアのレストランを1頭のチェコスロバキアン・ウルフドッグと訪れた。両氏は、繊細で刺激に反応しやすいことで知られるこの犬種が抱える不安や行動上の問題を未然に防ぐ鍵として、子イヌの頃から人間の環境に慣れさせることの大切さを強調する。(Photograph by Jasper Doest)
次ページ:広がる違法な繁殖と経験不足のブリーダー
ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の
定期購読者*のみ、ご利用いただけます。
*定期購読者:年間購読、電子版月ぎめ、
日経読者割引サービスをご利用中の方になります。
おすすめ関連書籍
オオカミの知恵と愛
ソートゥース・パックと暮らしたかけがえのない日々
オオカミと寝起きをともにした夫妻による、発見と感動の記録。人間も見習うべき、オオカミの賢さと愛の深さ。
〔全国学校図書館協議会選定図書〕〔電子版あり〕
定価:2,090円(税込)
Photo Stories 一覧へ
WACOCA: People, Life, Style.