メキシコの経済状況
22日に発表されたメキシコの第2四半期のGDP改定値は前期比0.6%と速報値の0.7%から低下したが2四半期連続のプラスとなった。農畜産業など第1次産業が2.4%減少(速報値は1.3%減少)、製造業など第2次産業は0.7%増加(速報値0.8%)、金融、サービスなど第3次産業は0.8%増加(速報値0.7%増加)となった。
関税交渉
7月31日にトランプ大統領はメキシコとの現行の貿易協定を90日間延長して、その間に新たな協定の締結を目指して協議を続けることでシェインバウム大統領と合意したと発表した。
トランプ大統領はメキシコには引き続き自動車に25%、鉄鋼・アルミ・銅に50%の関税を課し、メキシコは数多くの非関税貿易障壁を即時撤廃することに同意したと述べた。
メキシコの金融政策
メキシコ中銀は8月8日の会合で政策金利を0.25%引き下げて7.75%とした。前回6月の理事会では0.5%に引き下げを4回続けた後に、利下げ幅縮小を示唆していたために0.25%の利下げは予想通りだった。
21日には議事要旨(8月8日開催)が発表された。景気低迷と労働市場の冷え込みがインフレの持続的な低下を示唆するために大多数の理事が金融政策の追加的な引き下げを検討すべきとした。
前回会合では政策金利を0.25%引き下げ7.75%と3年ぶりの低水準に到達した。一方でヒース副総裁はインフレ高止まりを理由に据え置きを支持し全会一致の決定とはならなかった。
大多数の理事はインフレは今後も低下を継続していくと予想している。議事要旨は決定のために為替レート、経済活動の弱さ、世界の貿易政策の変化による影響などを考慮したとした。
また賃金の伸びが緩やかになっているとともに、正規雇用の就労ペースが鈍化していると指摘している。
一方据え置きを主張したヒース副総裁は、インフレの持続性が過小評価されており、利下げにはより慎重な姿勢をとるべきと主張している。
議事要旨には今後の金融政策は政策委員会は引き続き追加引き下げを検討すると述べられていた。
メキシコペソの投資戦略
ドルペソは月初の8月1日に18.97ペソ付近まで上昇したが、そこが8月の高値(27日時点)となりその後は下落している。ドルインデックスも8月1日が高値となり、その日発表された米雇用統計が弱かったことでドルが全体として下落しドルペソも下落した。
19ペソ付近が戻り高値でレジスタンスになっており、このレベルが上抜けしなければドル安ペソ高の流れは継続と予想する。
とはいえ18.50ペソ付近もサポートとして機能しており、当面は18.50~19ペソのレンジを予想する。
メキシコ中銀が利下げを継続しているが、そのことはあまりペソ安を促してはいない。9月FOMCで利下げが行われた場合に18.50ペソを下抜けすれば18ペソ付近への下落を予想する。
ペソ円は8月1日に8.02円まで上昇し、ここが6.8円まで下落した後の戻り高値になった。8円付近は2024年7月に下抜けするまでサポートとしていたレベルで、ここが長期的なレジスタンスとなっている。
その後7.75円付近まで下落したが7.7円付近に200日移動平均線が位置しており、ここは中期的なサポートレベルと思われる7.7~8円のレンジを予想する。
【メキシコペソ/円 日足】
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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
YEN蔵 氏
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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