【写真を見る】熊本の「県南・県北経済格差」どう解消する?迫る八代市長選挙 新リーダーに求められる“企業誘致の戦略”

■商店街が「昼間にやっていない」

八代市の中心部にある商店街。シャッターを閉めている店も多く、行き交う人もまばらです。閉店を知らせる貼り紙もありました。

70代男性「シャッターが下りていて、どこも行かない。昼間やっていないところが多いでしょう。それだけ往来が少ないから仕方ないですよね」

――次のリーダーに求めるものは
80代女性「活性化ですね。だれも通らない。この通りは」

70代女性「私は飲食店をしていますけど、客が少ない。企業にやっぱり来て欲しいですよね。賑わうから」

八代市によりますと、企業進出を後押しする条例を活用して新設・増設した企業は昨年度までの5年間で46社あり、243人の雇用が生まれました。

ただ、企業立地の数は県の北部と南部で差があるようです。

事業所を新設・増設する際に企業が市町村と結ぶ「立地協定」を見ると、昨年度までの5年間に県内で結ばれた立地協定は280件。

このうち県南(八代・芦北・球磨・天草の4地域)は65件と県全体の2割ほどです。

そんな県南の企業誘致のカギを握るのが、県が八代市で計画する工業団地とみられています。

■必要なのは「交通インフラ」だけじゃない

産業立地論を研究する熊本大学の鹿嶋洋教授は、「交通インフラが整っているため現在の景気が続けば一定の誘致は期待できる」としながらも、地域を活気づけるためには、誘致の仕方も重要になると話します。

熊本大学 鹿嶋洋教授「企業が立地して、さらに地元の企業との取引が生まれるとか、地域経済をもっと発展させるようなことを期待するのであれば、どのような業種・どのような企業を誘致するのかという、戦略が重要」

単に企業を呼び込むだけではなく、地場企業に仕事を広げる仕組みの必要だということです。

鹿嶋教授「産業を振興させる上でどの分野を重点化させるのかという判断。これはリーダーでないとなかなか下せないもの」

また、鹿嶋教授は「企業を誘致すると税収や雇用が生まれるので、自治体はそれで十分かもしれないが、リーダーはその一歩先、地域への経済波及効果まで考えて誘致する必要がある」と指摘しています。

八代市長選挙には、無所属・現職の中村博生候補(66)と、無所属・新人の小野泰輔候補(51)が立候補しています。投票はあさって8月31日行われ、即日開票されます。

熊本放送

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