米政府は28日、国内総生産(GDP)の統計データをブロックチェーン上に配信する取り組みを開始した。暗号資産(仮想通貨)業界に対するトランプ政権の新たな支持表明となる。

  この取り組みは既存の発表方法に取って代わるのではなく、新たな公表手段を追加するものだと、複数の商務省当局者が匿名で語った。

  商務省の発表によると、2025年のGDP四半期データのハッシュ値などが九つのブロックチェーン上に配信されるという。配信先はビットコイン、イーサリアム、ソラナ、トロン、ステラ、アバランチ、アービトラムワン、ポリゴンPoS、オプティミズムとなっている。

  市場に大きな影響を与えるGDP統計という重要データの公表にブロックチェーンを採用する決定は、この技術に対する政府の承認に等しい措置。今ではマネー・マーケット・ファンド(MMF)や株式などさまざまな取引に暗号資産関連の技術が活用されている。

  この施策は今後さらに対象範囲が拡大される見込みで、詳細についてはブルームバーグ・ニュースが先に報じている。

政策転換

  今回の施策は、トランプ大統領が労働統計局(BLS)の局長を解任した数週間後に始まった。5月と6月の雇用統計が当初の報告よりも大幅に下方修正されたことを受け、トランプ氏は根拠なく、数字は政治的意図で操作されたと主張していた。

  ただし、商務省の当局者はこの騒動とブロックチェーンの取り組みは無関係だと明かした。GDPの新たな発表方式はラトニック商務長官が主導したという。

  ラトニック氏は26日、ホワイトハウスで開かれた閣議でトランプ氏に対して省の統計データをブロックチェーン経由で配信するとし、「なぜならあなたは暗号資産の大統領だからだ」と語っていた。 

  かつて暗号資産に懐疑的だったトランプ氏は今や業界の積極的な支持者へ転向している。2024年の大統領選では、業界の成長を妨げる規制緩和を公約に掲げた。

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  ラトニック氏は暗号資産技術を経済指標にとどまらず幅広く発信に活用する考えを示している。トランプ氏との会合に出席していた他省庁の幹部に対して26日、「GDPデータをブロックチェーン上に配信すると人々がブロックチェーンをデータ配信に利用できるようになる。それを政府全体でも利用できるようにして、あなたたち全てが使えるようにする」と述べている。

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Source: Bloomberg

原題:US Puts GDP Data on the Blockchain in Trump Crypto Push (3)(抜粋)

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