2025年8月も残りわずかとなりました。皆さま楽しい夏休みを過ごされたことと思います。8月の「夏休み企画」5週連続公開も今回が最終回。先週の「栃木県の変わり中華」に続き、「栃木県の変わり蕎麦」を取り上げたいと思います。同県には独特なそしてとても美味しい蕎麦料理が数多くあります。地元の名産と合わせた蕎麦から、御利益がありそうな蕎麦など、栃木が誇る「変わり蕎麦」4店、ぜひお楽しみください。
【画像】これは食べたい!栃木の「変わり蕎麦」4選
ご当地グルメ「ニラそば」の名店『宮入そば』
最初にご紹介するのが宇都宮から西に約10キロの場所にある鹿沼市のご当地グルメ「ニラそば」です。当地は蕎麦もニラも県内有数の生産地で、両者を混ぜた「ニラそば」の名店がひしめき合っています。
筆者のイチ推しは東武日光線楡木(にれぎ)駅から5キロほど西に行った所にある『宮入(みやいり)そば』です。同店は蕎麦以外にも天ぷらやもつ煮込みなどビールのアテも充実しています。初めて訪問した際は自転車だったのでビールをぐっと我慢。捲土重来、数か月後に現地の旅館を予約し、ついにおつまみ&ビールからの「ニラそば」という夢が実現したのであります。
チェックイン後すぐ昼寝できるよう(笑)、14時くらいにお店に入り、まずは舞茸の天ぷらや漬物などをアテにビールで喉を潤します。そして締めの「ニラそば」。シャシシャキのニラとコシのあるお蕎麦。天にも昇るほど美味しく素敵な時間でした。ちなみに泊まったのは『松屋旅館』。当地は日光西街道の楡木宿があったそうで、その名残の宿なのかも知れません。皆さまも『宮入そば』からの『松屋旅館』でぜひ至福の時間をお過ごしください。
「縁結びそば」を『蕎遊庵』で味わう
次に取り上げるのは、栃木県足利市の『蕎遊庵(きょうゆうあん)』です。同地は日本最古の学校「足利学校」があったことで有名で、室町幕府を興した足利家の発祥の地でもあります。
市内には歴史ある神社仏閣が多い中、異彩を放っているのが「足利織姫神社」。なんとも素敵な名前ですが、さもありなん。当神社は「縁結びの神様」として有名で、近隣住民の恋を見守ってきました。境内には約300段の階段があり、200段ほど登ったところにあるのが『蕎遊庵』です。
当店の名物にして「変わりそば」はズバリ「縁結びそば」。蕎麦が紅白の色を身にまとっており、ぱっと見るとピンク色にも映りまさに恋も成就するかのようです。赤い蕎麦には紅を混ぜているとか。更科系なのでスルっと食べることができます。蕎麦を食べ終わった後「蕎麦湯」を飲もうと湯筒を持ち上げると受け皿にはなんと縁起物の五円玉が。何とも粋な演出にお腹も心も満たされました。蕎遊庵で食べて、さらに100段昇って本殿にお参りすれば、恋の願いもかなうこと間違いなしですね。
足利市は詩人であり書家でもある相田みつをさん(1924〜91年)の出身地でもあります。有名な「人間だもの」の書は同市の蕎麦処『めん割烹なか川』に所蔵されています。看板や箸入れなども相田さんによるものですし、同店では相田さんがこよなく愛した「にしんの甘露煮」を頂くことができます。
ちなみに、歌手の美空ひばりさんが病に伏し入院していた頃、相田さんの詩を書き写していたことは有名です。ひばりさんに詩集を紹介したのは、映画で共演して親交のあった俳優の萬屋錦之助(よろずや・きんのすけ)さんだったとか。多くの方に愛された相田みつをさん。詩人ゆかりのお店『なか川』にもぜひお運びください。
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