新型コロナの検査を受ける患者=富山市内の医院
●新学期、学校で流行懸念
富山県内で新型コロナウイルス感染者が1カ月前の5倍に増加していることが27日、分かった。47の定点医療機関から18〜24日に報告された感染者数は前週比224人増の380人(1定点当たり8・09人)で、「ニンバス」と呼ばれる変異株の拡大が一因とみられる。専門家は人の移動が活発となったお盆期間を経て、学校では新学期が始まり、さらに感染拡大の可能性があると警鐘を鳴らす。
●高齢者の重症化懸念
おぎの内科医院(富山市本郷町)の荻野英朗院長は「高齢者は暑い日が続くと体力を奪われ、重症化につながりかねない」と感染拡大に懸念を示す。7月下旬からコロナの受診が増え、最近の1日当たりの陽性判定者は4〜7人に上る。
お盆明けの1週間は陽性者が33人と8月上旬から倍増し、27日は午前中から検査の予約が入った。
症状は喉の痛みを訴える人が多い。職場に感染者がいて心配で受診した人や、37度程度の微熱で熱中症と思い受診したところ、陽性が判明したケースもあった。感染者がこれ以上に拡大すると、たん切り薬の不足も懸念されるという。
県によると、1定点医療機関当たりの感染者数は18〜24日が8・09人で前週の3・63人から2・2倍となった。お盆期間中に医療機関が休みでいったん減少したものの、再び増加に転じた。8人を超えるのは1月上旬以来、今年2回目の高水準となる。
県衛生研究所の大石和徳所長は、7月以降に国内での検出割合が4割を占めているオミクロン株の派生株「NB・1・8・1」(俗称ニンバス)の影響を指摘する。感染力が強い特徴があり、新学期が始まったことで小学校ではこれまで感染者の少ない低学年を中心に感染が拡大する可能性があるという。
大石所長は「ノーマスクが定着している中、人混みのなかではマスクを着けたり、建物の中での換気といった対策が必要だ」と話した。
★NB・1・8・1(俗称ニンバス) 新型コロナウイルスのオミクロン株から派生した変異株。感染力が従来株より高く、感染すると激しいのどの痛みを伴う。国立健康危機管理研究機構の調べでは7月時点の検出割合は40・52%。ニンバスはラテン語で「雨雲」の意味。
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