インド科学技術省(MoST)は7月21日、旗艦政策であるBioE3(経済・環境・雇用のためのバイオテクノロジー)政策の進捗状況を関係省庁との合同レビュー会議において発表した。

(出典:PIB)

本政策は2024年8月に閣議決定されたもので、経済(Economy)・環境(Environment)・雇用(Employment)を軸に、バイオテクノロジーと人工知能(AI)を融合することで、インドを世界的なバイオ製造拠点とすることを目的としている。バイオテクノロジー庁(DBT)の傘下にあるバイオテクノロジー産業研究支援評議会(BIRAC)と共同で行った、本政策に基づく第1回の公募には、2000件を超える提案が寄せられた。

BioE3政策は、炭素回収と利用、精密バイオ治療薬、スマートタンパク質、酵素、気候変動に強い農業の5分野に重点を置く。約40%の採択プロジェクトはスタートアップや企業が主導しており、学術機関と連携しながらアグリバイオ技術の革新を推進している。

ジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は、海外在住インド人研究者向けの100名のポスドク研究員制度を創設する案についても検討した。このプログラムは人材の還流と国内研究基盤の強化を意図したものだ。

また、エネルギー分野では、インドのビハール州における新たな原子力発電所建設に向けた立地評価の進捗が共有された。

宇宙分野でも複数の進展が報告された。GSLV Mark-3ロケットでは、構造改修なしで20%のペイロード増が期待されている。また国際衛星打ち上げ時のトラブルも迅速な対応で回避できた事例についても言及された。ナショナル・スペース・デーには、300社を超えるスタートアップが出展する予定である。教育分野では、女子生徒向け科学体験プログラム「ヴィギャン・ジョティ」への参加が拡大している。また、教育省では6~10年生を対象とした早期メンター制度の整備も検討している。

会議の閉幕に際し、同相は「私たちは単なる政策調整ではなく、今後数十年にわたるインドの科学的リーダーシップの礎を築いているのです」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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