日本銀行の早期利上げ観測が強まる中、28日に実施される2年国債入札に投資家らは注目している。短期ゾーンの利回りはおよそ17年ぶりの高水準に上昇(価格は下落)するなど日本の債券市場は弱気相場が続いており、順調に買いが入るかどうか焦点だ。発行予定額は2兆6000億円程度。

Federal Reserve Jackson Hole Economic Symposium

ジャクソンホール会合に出席した植田日銀総裁

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  短期国債の利回りは既に日銀の利上げを織り込みつつある。2年債利回りは0.87%前後、5年債は1.16%程度と共に2008年以来の高水準に近い。スワップ市場は、日銀が年内に追加利上げに踏み切る確率を70%程度織り込んでいる。

  米国のベッセント財務長官は今月13日、ブルームバーグのテレビインタビューで、私見と断った上で、インフレ問題を抱える日銀は「後手に回っており、利上げするだろう」と語った。

  日銀の植田和男総裁は23日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀の年次シンポジウムで、大きなショックが生じない限り日本の労働市場は逼迫(ひっぱく)した状況が続き、「賃金に上昇圧力がかかり続ける」との認識を示した。

  この発言後、国内債券市場は10月の金融政策決定会合での政策変更観測を強め、市場の政策金利見通しを反映する翌日物金利スワップ(OIS)は同月の利上げ確率を約53%と見込んでいる。

  パインブリッジ・インベストメンツでアジア債券共同責任者を務めるオマール・スリム氏は「短期から中期にかけての金利は、財政不安が重しとなる長期ゾーンよりもしっかりと支えられるだろう」と予測。一方で、「国内発のインフレの兆候が強まっており、植田総裁は動きたがっている。年内に25ベーシスポイントの利上げを見込む」とも述べた。

  入札結果は東京時間午後0時35分に公表予定。市場関係者は、需要を測る重要指標である応札倍率に注目している。7月実施の前回の2年債入札では、4.47倍と過去12カ月の平均を上回り、24年10月以来の高水準だった。

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2年、5年国債の長期利回り推移

 

 

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