海上自衛隊の護衛艦「もがみ」(海自のサイトより)
2025年8月5日、オーストラリア政府のリチャード・マールズ副首相兼国防相は、同国海軍の次期汎用フリゲート艦として、三菱重工業が提案した能力向上護衛艦「もがみ」型(令和6年度型護衛艦や新型FFMとも呼ばれる)を採用したと発表した。
今回の計画には、10年間で100億オーストラリア・ドル(約9600億円、1豪ドル=約96円)が割り当てられる。
全11隻のうち初期の3隻は日本で建造し、その後の8隻はオーストラリアで建造する予定である。
オーストラリア政府によると、採用の背景には、運用寿命の長さや乗組員の省人化によるコスト減効果などがある。
また、採用された「もがみ」型は既に日本で建造が進み、2029年に納入、2030年に運用開始の予定である。
性能面では、防空ミサイル発射能力が従来型より大幅に向上したことなどを挙げ、オーストラリア海軍の他の艦艇との相互運用性にも優れているとした。
パット・コンロイ国防産業相は「コスト、性能、納期の順守の面で、『もがみ』型フリゲート艦が明らかな勝者だった」と述べた。
(出典:ジェトロ ビジネス短信「オーストラリア海軍、日本の護衛艦「もがみ」型を採用」2025年8月5日)
若干時間を遡るが、オーストラリア海軍(以下、豪海軍)は2024年2月、次期汎用フリゲートプログラムは、日本・スペイン・ドイツ・韓国の4か国が候補であると発表した。
さらに同年11月には日本とドイツが最終候補であると発表した。
最終候補に残ったとの公表を受け、日本政府は同年11月、オーストラリアの次期汎用フリゲートの共同開発・生産を我が国が実施することとなった場合の完成品等の日本からオーストラリアへの移転について、国家安全保障会議で審議した結果、海外移転を認め得る案件に該当することを確認したことを発表している。
近い将来に護衛艦の完成品がオーストラリアへ移転された場合、日本による防衛装備の完成品の海外移転としては、戦後ではフィリピンへの警戒管制レーダーに次いで2例目となる。
今回の豪海軍の次期汎用フリゲートの共同開発・生産の受注については2つの大きな意義がある。
1つ目は、我が国にとって「特別な戦略的パートナー」(注1)であるオーストラリアとの安全保障協力をさらなる高みに引き上げる大きな一歩となる。
2つ目は、我が国の防衛産業にとって、人材の育成をはじめ技術力向上や国際競争力強化、国内産業基盤強化に繋がることが期待される。
(注1)オーストラリアは、ともに米国の同盟国として、基本的価値のみならず安全保障上の戦略的利益を共有する我が国にとって、インド太平洋地域の「特別な戦略的パートナー」である(出典:防衛白書)。
以下、初めにオーストラリア汎用フリゲート艦プログラムについて述べ、次に防衛装備品の海外移転の状況について述べ、日豪防衛協力の深化について述べる。
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