フランスではバイル首相に対する反対が強まり、来月にも内閣が崩壊する可能性が高まっている。

  国民議会(下院)の主要野党のうち3党、極右・国民連合(RN)と急進左派政党「不屈のフランス」、中道左派の社会党はそれぞれ、9月8日の内閣信任投票で反対票を投じる意向を示しており、バイル内閣は退陣に追い込まれそうな様相だ。

  これを受けて26日の市場でフランス資産は前日に続いて売られ、同国株の指標であるCAC40指数は一時1.9%安。主要リスク指標であるフランスとドイツの10年債利回り格差は拡大し、このまま引ければ終値として4月以来の大きさとなる。

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  財政赤字抑制で比較的前進を遂げているイタリアなど近隣の欧州諸国とは裏腹に、フランスは財政懸念が再び意識されている。

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  この政治混乱で、マクロン大統領がとり得る選択肢は少ない。新首相の指名またはバイル氏の再指名により、かろうじて政策運営を継続することを期待するか、議会を解散し、野党を活気づかせるリスクを冒すかだ。解散総選挙に踏み切れば、マクロン氏は既に弱い議会での立場をいっそう弱める恐れもあり、それはまさに昨年夏の選挙後にたどった展開の二の舞となる。

  社会党の下院トップ、ボリス・バロー氏は26日、BFMテレビで「われわれは内閣信任投票で反対票を投じる」と明言。同党のブラン議員はさらに踏み込み、「事実上の内閣総辞職を9月8日に目にすることになるだろう」と語った。

  マクロン氏が新首相を指名するとしても、不人気の予算案をどうやって成立させるのかという疑問は残る。バルニエ前首相が辞任を余儀なくされたのも、予算案を巡る行き詰まりが原因だった。

  一つの可能性としては、社会党関係者を説得して同党の支持取り付けを図ることがあり、昨年末にエリック・ロンバール氏が財務相に起用されたのもそうした思惑があった。だが、予算編成の主導権は後にバイル首相が握った。

  議会解散と総選挙が決定されれば、フランスは多大な不確実性に包まれる。マクロン氏は2024年に自身に対する議会の支持を強化しようと早期総選挙に打って出たが、かえって支持は後退し、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いるRNが下院で初めて第1党に躍り出た。

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原題:French Premier Risks Government Collapse as Opposition Grows(抜粋)

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