フランスのバイル首相は25日、9月8日に国民議会(下院)で内閣の信任投票実施を求めると明らかにした。7月に編成方針を公表した2026年緊縮予算案の賛否を問う。

  極右・国民連合(RN)と急進左派政党「不屈のフランス」、エコロジスト-ヨーロッパエコロジー・緑の党はいずれも信任に反対する構えで、来月にも内閣総辞職を迫られる恐れが出てきた。

  25日の金融市場では、政局不安の高まりを受け、フランス資産への売り圧力が強まった。10年国債利回りは一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、 3.51%を付けた。ドイツ国債に対する上乗せ利回り(プレミアム)は75bpと4月以降で最も拡大した。

  フランスでは昨年12月、政府予算案に反対するRNと左派連合「新人民戦線」がバルニエ内閣を総辞職に追い込んだ。その後少数与党のバイル内閣が発足したが、政府支出削減と事実上の増税に野党は反発し、下院で不信任となれば、バルニエ政権の二の舞になりかねない。

  昨年の国民議会選の結果、マクロン大統領の中道与党連合は下院で勢力が後退した。バルニエ内閣に続きバイル内閣も崩壊すれば、政権基盤の脆弱(ぜいじゃく)さがあらためて浮き彫りになる。国民議会ではマリーヌ・ルペン氏が実質的に率いるRNが最大勢力を占め、同党は新たな選挙実施を要求している。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のシニア地理経済アナリスト、アントニオ・バローゾ氏らは「野党は信任に反対する構えのように見え、方針を撤回しない限り、内閣は崩壊するだろう」と指摘した。

  フランスの10年国債利回りは、ユーロ圏諸国で最も高いグループに今や属し、かつて欧州ソブリン債危機の震源地となったギリシャやポルトガルも既に上回る。政府予算案などフランスの国内リスクの影響を最も受けやすい企業を含むバークレイズの株式バスケットは、25日に2.9%下落した。

France's Benchmark Debt Premium Rises | Nation's yield spread over Germany has widened on political impasse

 

 

  バイル政権は今年7月、第2次大戦の戦勝記念日(5月8日)など祝日の2日廃止を盛り込んだ総額438億ユーロ(約7兆5000億円)の財政健全化策を示し、政治的緊張が再燃した。

  支出削減と増税に対する野党の反対を受け、バイル首相は信任投票で支持を固める賭けに出た。バイル氏は25日の会見で、「それはリスクだが、最大のリスクは何もしないことだ。勇敢に立ち向かわなければ、この状況から抜け出す道はない」と語った。

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原題:France’s Government Risks Another Collapse, Weighing on Markets(抜粋)

(財政健全化策に関する情報などを追加して更新します)

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