都内のホテル駐車場で行われた、次世代バイオディーゼル試乗会(写真:筆者撮影)
マツダが都内で8月22日、「次世代バイオディーゼル体験会」を実施した。参加したのは企業37社から78人、6つの行政・自治体から12人の合計90人。さらに、筆者を含めて報道関係者数十人が取材に訪れた。試乗会場には、マツダのディーゼルハイブリッド車「CX-60」と「CX-80」、いすゞ自動車が神奈川県藤沢工場で社員送迎用として社会実装している大型バス、さらに次世代バイオディーゼルを全国に配送する東京の平野石油が所有する小型タンクローリーなどが展示された。なぜこのタイミングで、次世代バイオディーゼルに注目が集まっているのだろうか?
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
日本が目指す「マルチパスウェイ戦略」
試乗会に先立ち開催された説明会では、資源エネルギー庁資源・燃料部燃料供給基盤整備課の東哲也課長が「次世代燃料導入促進に向けた取り組み」を紹介した。
資源エネルギー庁による説明の様子(写真:筆者撮影)
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それによると、日本が目指す2050年カーボンニュートラルに向けては「マルチパスウェイ戦略」が基本となる。マルチパスウェイとは、各国・地域での社会状況や技術の進展を考慮して、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)、ハイブリッド車など、多様な動力装置を併存させることを指す。
マツダが開催した「次世代バイオディーゼル試乗会」における説明会の様子(写真:筆者撮影)
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その中では、既存のエンジンを改良するなどして、カーボンニュートラル燃料の活用も目指している。詳しくは後述するが、次世代バイオ燃料は、カーボンニュートラル燃料の一種だ。
インフラの観点では、脱炭素電源(再生可能エネルギーや原子力など)については、充電ステーションやクルマと住宅・事業所などとの間で電力をやり取りするV2X(Vehicle-to-Everything)という技術を普及させる構想だ。このほか、水素の供給については水素ステーション、持続可能燃料(バイオ燃料、合成燃料など)の供給については既存のガソリンスタンドを活用する構想を示した。
つまりマルチパスウェイとは、自動車そのものの話だけではなく、社会インフラのあり方を再検討する意味もある。
その上で、持続可能な液体燃料の重要性についても触れた。液体燃料とは、ガソリンや軽油などのことだが、EVなどが搭載する電池と比べると体積(容量)あたりのエネルギー密度が高く、また電池を蓄電するよりも長期の備蓄が可能という特徴がある。
では、こうした持続可能な液体燃料にはどのような種類があるのか。

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