昔のテレビ番組を思い出した
1980年代に英国で放送されていたテレビ番組『You Bet!』が最近復活したと聞いた。当時観たことがあるという英国人は多いだろう。
番組では、一般人の出演者が審査員パネルの前に現れ、例えば「自分は水差しに鼻を浸すだけで、水の温度を0.5度以内の誤差で、あるいはそれ以上の精度で測定できる」といった、信じがたいことを主張する。
「10年後にはほとんどのメーカーが消えている」という話はちょっとナンセンスだ。
出演者は絶対にできるという自信を持っている。審査員のタレントたちは、そのような離れ業が本当に可能かどうかを賭ける。
鼻で水温を測る回に関しては、筆者(英国人)の記憶では、出演者は実際にやってのけたと思う。そして、そのような調子で番組は続いた。
他にも印象に残っている回が2つほどある。ホイールやホイールキャップのデザインだけで車種を識別する人。確か、出題された問題にはほぼほぼ正解していたと思う。あと、バーコードを見ただけでその製品が何であるかを当てられる人。
バーコードは当時、まだ比較的新しい技術だった。1980年代後半なら「これはウィスカスの猫用フード、チキン味です」と答えるのは可能だったかもしれないが、今ならさすがに無理ではないだろうか。同様に、ホイールに関してもデザインや種類が増えたため、当時よりも現在の方が識別するのは難しいだろう。
さて、筆者がこのような話を持ち出したのは理由がある。先日、ある業界の専門家が、数年後には自動車メーカーはほんの一握りしか残っていないだろう、と話していたからだ。
大企業が他社を吸収したり、駆逐したりして、残るのは両手で数えるほどになるだろう、と。
この40年間で、筆者はこの類の議論を両手で数えきれないほど何度も耳にしてきたが、それが本当かどうかはまだ確信が持てない。今日の自動車メーカーがすべて生き残るわけではないことは確かだ。大手メーカーでも買収されたり、資金難に陥ったりするケースも十分に考えられる。
しかし、クルマを購入するお金のある人は、これまで以上に世界中に増えている。筆者は、生き残る自動車メーカーの数を予測するよりも、目にするホイールデザインの数を予測したい。
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