【8月25日 CNS】ギリシャ北部のトラキア地方では、エーゲ海から吹き渡る風が山稜を越えていく。夜ともなれば、ギリシャで灯る330灯に1灯はこの風によって発電された電力で点いている。中国企業が主導する風力発電プロジェクトは、同地域に4か所の風力発電所を建設。年間発電量は3万世帯以上を賄い、二酸化炭素排出削減効果は36万本の植樹に相当する。
これは中欧グリーン協力の一例に過ぎない。南欧の太陽光発電システムから北欧港湾の環境対応輸送船、中欧鉄道沿線のグリーン中継基地まで、エネルギー・交通・製造など多分野にわたる協力が欧州大陸全域で展開されている。「分断」を唱える声にかき乱されることなく、着実な実践が積み重ねられているのだ。
この協力の価値は多角的に現れている。第一に技術の共進と補完的イノベーションだ。中国は世界最大のクリーンエネルギー設備製造国として完結した産業体系を有し、欧州は再生可能エネルギー研究開発や基準設定で世界をリードする。両者は各分野の強みを活かし合い、技術進歩を共有している。
フランス南部カダラッシュでは、中国企業を中心とした中仏共同企業体が「人工太陽」国際熱核融合実験炉(ITER)の組立・吊り上げ作業を担当。ポルトガルでは太陽光パネルの約85%が中国製で、現地の最高品質認証を取得している。実際のプロジェクトを通じて、技術・基準・品質が協力の深みと広がりを形作っていく。
今年4月、中欧は「グリーン技術協力覚書」に署名。水素エネルギー、エネルギー貯蔵、炭素回収など6重点分野で3年間に150億ユーロ(約2兆5758億円)を共同投資し、世界最大の越境型グリーン技術研究開発連合を構築する計画だ。
産業発展プロセスも深く連動している。過去20年、中欧のグリーン産業・供給チェーン協力は単なる「売買関係」から「共創システム」へと進化した。比亜迪汽車(BYD)がハンガリーに完成車工場・研究開発センター・地域本部を設立した背景には、新エネルギー関連サプライチェーンの現地再編と高度化がある。エナビジョン・テクノロジーはスペインでゼロカーボン水素産業団地の共同建設に参画し、その成果は工業・海運・航空等多分野に応用される予定だ。
こうした「共創モデル」により、グリーン製造は単なる市場戦略を超え、中欧産業システムの再統合を促している。社会面での影響も無視できない。ウクライナ危機後、欧州の家庭用エネルギー支出が急騰する中、中国製小型風力発電機や蓄電製品が迅速に市場投入され、市民の緊急需要に対応した。これは一部の西側政治家が喧伝する「中国の過剰生産能力」や「不公平競争」という主張に対する有力な反論となっている。
現地の中国企業に対する認識も静かに変化しつつある。ハンガリーでは寧徳時代新能源科技(CATL)、BYD、上海蔚来汽車(NIO)などが計約3万人の雇用を創出し、多くのプロジェクトで研修センターの設置や地元大学との連携メカニズムが整備されている。こうした「ソフト接続」は雇用や技術交流にとどまらず、中国企業を「共創パートナー」としてのイメージを醸成している。
先日、北京市で開催された中国-欧州連合(EU)首脳会談では「気候変動対策に関する共同声明」が発表され、パリ協定(Paris Agreement)採択10周年後の方向性を示すとともに、気候協力の強化と地球規模のグリーン・低炭素転換を推進する積極的な信号を発した。
グリーン生産能力の共創、グリーン転換の共促からグリーンガバナンスの共謀まで、中欧のグリーン協力は双方の発展に資するだけでなく、世界に実践のモデルを提供している。「欧州のゼロカーボン構想には中国の知恵が必要だ」とデジタル技術を通じて持続可能性を推進する国際組織・GeSI のルイス・ネヴェス(Luis Neves)CEOは語る。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News
WACOCA: People, Life, Style.