再審制度の問題点について語る小島次郎弁護士(右)と高平奇恵弁護士=金沢市丸の内で
刑事裁判をやり直す再審制度についての講演会が23日、金沢市丸の内の金沢弁護士会であった。再審無罪が確定した「袴田事件」や「福井女子中学生殺人事件」の事例から、制度の問題点が語られた。
講演では、刑事事件に詳しい一橋大大学院法学研究科教授の高平奇恵弁護士が登壇し、再審では証拠開示などの手続きに関する明確な規定がないことを指摘。検察官の不服申し立てにより時間がかかるといい、袴田事件では検察の即時抗告から再審開始まで約9年を要したことを問題視した。
1980年代に死刑が言い渡された四つの事件で再審無罪判決が下され、「制度を見直す転機はあったはずだが、再審制度はずっと放置されていた」と主張。国会内で改正に向けた動きがあり、「裁判所も捜査機関も間違いをする。過ちは次に生かしていかないと良い制度にはならない」と強調した。
福井女子中学生殺人事件の弁護団に加わった金沢弁護士会の小島次郎弁護士の特別報告もあった。前川彰司さんが再審無罪になるまでの経過を説明し、「証拠開示がなければ、前川さんはいまだに犯罪者とされたまま生活を送っていたかもしれない」と証拠開示の重要性を語った。(甲斐崎颯斗)
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