ドイツのメルツ首相は23日、同国経済の課題への取り組みが、当初の想定よりはるかに困難であることが明らかになってきたと述べた。
メルツ氏は北部オスナブリュックでの演説で、「自戒を込めて言うが、これは1年前の想定よりはるかに大仕事だ。われわれが直面しているのは単なる景気減速ではなく、経済の構造的危機にほかならない」と訴えた。
欧州の産業大国で最大の輸出国でもあるドイツは、ロシアのウクライナ侵攻以降、高止まりするエネルギーコストや米関税措置の影響で苦境が続いている。22日に発表された4-6月(第2四半期)国内総生産(GDP、改定値)は前期比0.3%減と、速報値の0.1%減から下向き改定された。
メルツ氏はニーダーザクセン州で、「今週までにわれわれが直面する課題の深刻さと広がりは誰の目にも明らかになった」と自ら率いるキリスト教民主同盟(CDU)の党員に語りかけた。同州にはドイツを代表する自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)が本社を構える。
4-6月期にフォルクスワーゲンの税引き後利益が36%減少したことにも首相は触れ、「これは数多くのメッセージの一つ」に過ぎないと指摘。「国内経済の大部分はもはや真の競争力を失っているが、それは価格競争力の問題だ。品質はなお良好で、企業経営者はこれらの課題を認識している。しかし、ドイツ経済の基礎的条件は過去10年間、十分良い状態ではなかった」と語った。
メルツ氏は今年首相に就任した後、規制・行政手続きの簡素化やインフラの近代化、内需喚起に向け大胆な改革を約束してきた。道路や橋の整備、防衛力強化のために巨額の投資も計画している。
同氏は演説で、設備投資への新たな税優遇措置を強調する一方、中堅企業への増税に反対する立場をあらためて示した。米国がドイツからの輸入品に課す15%関税が経済の重荷になると認めながらも、「全面的な貿易戦争に発展すれば、はるかに悪い結果になっていただろう」と強調した。
原題:Merz Says Tackling Germany’s Economic Woes Tougher Than Expected(抜粋)
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