株式会社商船三井、株式会社トレードワルツ、スズキ株式会社の3社は、インド・アフリカ間における自動車商流の協業を推進するため、協力覚書(MOU)を締結しました。

本覚書は、2025年8月21日に横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の場で署名され、公表されたものです。

今回の協力は、インド・アフリカ間の自動車輸送における貿易実務の課題解決や電子化の推進、さらには脱炭素化の取り組みを含んでおり、持続可能なサプライチェーンの構築に向けた重要な一歩となります。

インド・アフリカ間の商流強化に向けた覚書

今回締結された協力覚書は、インド・アフリカ間における自動車輸送をめぐる実務上の課題を解決し、効率的かつ持続可能な商流を実現することを目的としています。

具体的には、従来アナログで行われてきた船荷証券の発行をはじめとする書類業務の電子化を検討し、物流の効率化を進めるとともに、環境負荷を軽減するための脱炭素化施策を3社で共同して推進します。

商船三井は、インド発アフリカ向け自動車輸送サービスを拡充しており、物流面での豊富な知見を提供します。

トレードワルツは、貿易プラットフォームの提供や電子化の実証調査を通じてプロセス改革を支援し、スズキはインド製小型車の供給を通じてアフリカのモビリティニーズに応え続けています。

この3社の連携により、巨大経済圏を結ぶ強固なサプライチェーンの形成が期待されています。

日印協力イニシアティブとの連動

この覚書は、2025年2月に開催された「日本・インド・アフリカ官民フォーラム」で提唱された「アフリカの持続可能な経済発展に向けた日印協力イニシアティブ」の流れを受けたものです。

当フォーラムにおいて、武藤容治経済産業大臣は日印の連携強化を提案しており、その実践的な事例として本協力は位置付けられています。

商船三井は増加する自動車輸送需要に対応し、トレードワルツはインドおよびアフリカでの市場調査を通じて貿易電子化を推進してきました。

スズキは、インド製の燃費効率が高く耐久性に優れた小型車をアフリカ市場に展開しており、両地域の中間層のニーズに応えています。

これら各社の既存事業の親和性が高いことから、協力覚書の締結は自然な流れであり、地域の持続可能な経済成長に大きく寄与するものといえます。

TICAD9署名式が象徴する未来

今回の協力覚書は、TICAD9という国際的な舞台での発表であり、その意義は非常に大きいものです。横浜で行われた署名式は、インドからアフリカに至る巨大経済圏のサプライチェーン強靭化に向けた第一歩を示す象徴的な場となりました。

3社は今後、TICADの精神を具体的な事業に落とし込み、輸送の効率化や電子化の推進を通じて、より強固で持続可能な国際物流の仕組みを構築していくことを確認しました。

特に、アフリカにおける移動需要の拡大と環境配慮の両立は喫緊の課題であり、今回の取り組みはその解決策のひとつとして注目されています。

インド・アフリカ・日本の三者協力により、国際貿易の新たな枠組みが形成され、持続的な成長と連結性向上への道が開かれることが期待されます。

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