マラッカ海峡の混雑が日本のリスクに=写真は原油を輸送するタンカーのイメージ(写真:Sven Hansche/Shutterstock.com)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=61ドルから64ドルの間で推移している。米ロ首脳会談の結果、ロシア産原油の輸出が縮小するとの懸念が緩和され、価格のレンジは先週に比べて1ドルほど低下した。

 まず原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。

 トランプ米大統領は8月15日、ロシアのプーチン大統領との会談でウクライナでの戦争終結に向けた進展があったことを踏まえ、ロシア産原油の購入を理由に対中関税を引き上げることを当面見送る考えを示した。

 トランプ氏は8月初め、ロシア産エネルギーを購入する国々に対し、追加関税を課すと警告しており、インドに対して27日から関税を50%に倍増させることを決定した。

 中国に対しても同様の措置が実施される可能性があったが、首脳会談の成功を理由にトランプ氏はこれを回避した。

 中国の7月の原油輸入量は前年比11.5%増の日量1112万バレルだった。最大の輸入元はロシアで前年比16.8%増の日量205万バレルで、2番目はサウジアラビアで、前年比16.6%増の日量176万バレルだった。

 制裁対象となっているイラン産原油の主要な積み替え拠点であるマレーシアからの輸入は前年比31.9%減の日量99万バレル、米国からの輸入は2カ月連続でゼロだった。   

 

 8月21日付ブルームバーグは「中国のロシアからの原油輸入は8月も増加している」と報じている。

 中国への融和姿勢とは対照的に、米国政府はインドへの批判を強めている。

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