韓国・ソウル(CNN) 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は、ウクライナとの戦争でロシアのために戦死した自国の兵士たちに哀悼の意を表し、「心が痛む」と述べた。金氏が北朝鮮の軍事的損失について認めるのは異例。
上記の発言は21日、平壌で行われた式典でのもの。北朝鮮の国営メディア、朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。式典に臨んだ金氏は、クルスク州西部でロシアのために戦った部隊の指揮官らと面会。兵士たちを「英雄的な軍隊」と称賛した。
KCNAが公開した写真には、壁に並べられた戦没兵士たちの写真立てに、金氏が表彰のバッジを付ける様子が写っている。写真立ての下部には、兵士たちの名前が金色で記されていた。

ロシアから帰還した北朝鮮の兵士を抱きしめる金正恩氏/KCNA
KCNAによると、金氏は演説で「つらい現実に心が痛む。偉大な勝利と栄光のために尊い命を捧げた高貴な人々に対し、私は追悼の壁に掛かった写真を通してしか会うことができない」と語った。
その上で、「戦没者の遺族の前に立っても、自らの後悔と謝罪をどのように表明すればよいのか分からない。国家に託された大切な息子たちを守ることができなかったのは遺憾だ」と述べた。
北朝鮮が公開した写真によると、式典は涙の渦に包まれた。金氏が泣いている子どもたちや兵士たちを抱きしめている写真も複数見られる。

式典では戦没者の遺族と触れあう一幕も/KCNA
帰還した部隊については、その後祝賀の晩餐(ばんさん)会が開かれたと、KCNAは報じている。
北朝鮮は昨年、金氏とロシアのプーチン大統領による会談が大きな注目を集めた後、ロシアの対ウクライナ戦争を支援するため、兵力と装備の大規模な派遣を開始した。孤立主義的かつ独裁的なアジアの国が、欧州の戦争の真っ只中に巻き込まれた形だ。
ロシアと北朝鮮は当初、部隊の派遣について一切の確認を拒んでいたが、その後、北朝鮮軍の関与を公に認めている。

ロシアには現在約1万2000人の北朝鮮軍が駐留しているとみられる/KCNA
金氏とその政権はかねて、クルスク州での戦闘に派遣された北朝鮮兵士が甚大な損害を被ったとの報道については硬く口を閉ざしている。今週の式典は、その影響の度合いを認める珍しい機会となった。
ウクライナと米国の情報機関によると、ロシアには現在約1万2000人の北朝鮮軍が駐留している。最初の派遣は2024年の秋に行われた。
ウクライナ当局が今年7月に発表した新たな情報によれば、北朝鮮はロシア駐留軍の兵力を3倍に増強する方針。今後数カ月でロシア支援のため2万5000人から3万人の兵士を追加派遣する予定だという。
西側諸国の情報当局者もこの推計については把握しており、ウクライナの推計とは別の情報を通じて同様の数字を確認したと明らかにした。

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