
カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)は21日、同国で2025年上半期(1―6月)に難民認定を申請した米国人が245人となり、通年(1―12月)申請との比較でも第1次トランプ政権だった19年以来の高水準となった。写真は4月、米加国境近くで撮影(2025年 ロイター/David Ryder)
[トロント 21日 ロイター] – カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)は21日、同国で2025年上半期(1―6月)に難民認定を申請した米国人が245人となり、通年(1―12月)申請との比較でも第1次トランプ政権だった19年以来の高水準となった。バイデン前米政権下の24年通年の申請は204人にとどまっていた。
反DEI(多様性・公平性・包摂性)政策を掲げる第2次トランプ政権が今年1月に発足したことを背景に、米国から逃れようとする動きが出ているとされる。第1次トランプ政権下でも米国からの申請者数が増加していた。
IRCCは申請理由を明示していないものの、ロイターが取材した8人の弁護士はトランスジェンダーの米国人が出国を希望する事例が増えていると説明した。
ただ、全体の難民認定申請者数の約5万5000人に占める米国人の割合は低水準にとどまった。申請者が難民として認定されるには米国ではどこも安全ではないことをカナダ移民・難民委員会が認める必要があり、カナダが米国人の難民申請を受け入れる割合は歴史的に見て低水準にとどまっている。
一方でカナダ移民・難民委員会は、米国の状況を詳述した文書に、米国でのLGBTQ(性的少数者)の扱いについて調査した国際的な人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)などの文書を最近追加した。
ロイターはカナダで4月、難民認定申請のために訪れた米西部アリゾナ州のトランスジェンダー女性と、トランスジェンダーの娘の代わりに申請した女性を取材した。
トランプ米大統領は反DEI路線に沿ってトランスジェンダーの権利を後退させ、医療や軍隊勤務から排除し、トイレの使用やスポーツ大会への参加を制限しており、米最高裁もこれらを認めている。
米国土安全保障省(DHS)の報道担当者は、カナダでの難民認定申請者は「実際に恐怖や迫害に直面している」個人に余地を与えることになるとコメントした。
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