横浜総合高校=南区大岡=の校内で運営されている「ようこそカフェ」が開始されてから10月で10年目に入る。8月20日には、同カフェが10年目を迎えることを記念した活動報告会が横浜市青少年育成センターで行われた。当日は、定員60人を超える参加者で会場を埋め尽くした。

 同校は、午前、午後、夜間の3つの部を持つ定時制高校。家庭環境や発達障害、不登校、外国につながる子どもなど様々な課題を持つ生徒が通う。10年前は卒業後の進学未定者が30%を占めており、退学者が多いことも特徴だった。

 2016年10月に、横浜市立大学の高橋寛人教授の呼びかけで、生徒同士の交流やキャリア支援を目的に同カフェがスタート。運営は青少年支援を行う(公財)よこはまユースが担い、同大学などが協力する形で始まった。年度を重ねるにつれ協力団体も増え、現在は、7団体が参画している。

 同カフェは、長期休みを除く、毎週水曜日に開かれている。軽食を取りながら、生徒同士やスタッフとの交流を深め、たわいのない話で笑い合ったり、ふとこぼれる悩みや進路について相談する場にもなっている。

 活動報告会では、同カフェの立ち上げに参画した、現みなと総合高校の教諭・堀谷沙貴さんと現在、同カフェの運営を担当するよこはまユースの山中梓さんが登壇。同カフェの活動の歩みと成果報告を行った。

生徒理解の場に

 同カフェの1回あたりの参加生徒の平均人数は1年目が197人だったが、昨年には344人となった。堀谷さんは、同カフェが生徒たちの居場所になるだけでなく、教員にとっても生徒理解の場になっていることを強調。「学校生活ではみせない表情だったり、話が聞ける。普段元気そうに見えていても、実は悩みを抱えている生徒の把握にもつながる」と話す。

 キャリア支援については、県内外の団体の協力で農業や漁業の体験をしたり、教員がカフェで進路相談を行ったことを報告。「カフェが全ての要因ではないが、13%まで進学未定率が改善したことは、一つの成果ではないか」と述べた。

地域貢献活動も

 山中さんは、「カフェのおかげで学校に来れた」「気軽に立ち寄れる居場所になっている」など参加する生徒の声を紹介。また、地域貢献活動として、就業体験のつながりから各地特産品を販売し、その売上で防災グッズを制作する「横総大感謝祭」の取り組みについても触れた。

 横浜市内で同じく校内居場所カフェを運営するみなと総合高校と戸塚高校定時制の教諭らも加わって、パネルディスカッションも実施した。

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