メキシコ市のソカロ広場で掲げられたメキシコ国旗(2025年6月23日撮影)。(c)Alfredo ESTRELLA/AFP
【AFP=時事】麻薬王を賛美する歌を歌っていたメキシコの人気歌手が19日夜、西部ハリスコ州サポパン市の駐車場で射殺された。警察が明らかにした。
射殺されたのは、スポティファイで月間400万人のリスナーを抱えるグループ「エニグマ・ノルテーニョ」のボーカル、エルネスト・バラハスさん。悪名高い麻薬組織(カルテル)の活躍をたたえる地域音楽のサブジャンル「ナルココリード」の歌手の一人だ。
ここ数か月、ナルココリードの歌手や演奏者が殺害される事件が起きており、5月にはタマウリパス州で「フギティーボ」のメンバー5人が麻薬密売人とみられる集団に殺害された。
サポパン警察によると、2人の男がバイクに乗ってバラハスさんに近づき、発砲した。バラハスさんの他に男性1人が死亡、女性1人が脚を負傷したという。
エニグマ・ノルテーニョの楽曲には、メキシコで最も強大な麻薬組織の一つ、ハリスコ新世代カルテルのリーダー、ネメシオ・オセゲラ容疑者にささげられた曲もある。
他には、現在米国で終身刑に服している悪名高い麻薬王、「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン受刑者の息子たちにちなんだ「ロス・チャピトス」という曲もある。
メキシコの犯罪組織はミュージシャンに金銭を支払い、自分たちの功績をたたえる曲を作らせ、演奏させている。
歌手たちは犯罪組織間の縄張り争いに巻き込まれることもある。
現地メディアによると、バラハスさんは過去にハリスコ新世代カルテルから脅迫を受けていた。
メキシコのいくつかの地域では「ナルココリード」が禁止されている。4月に行われたコンサートでは、ある歌手が自身の人気曲のいくつかの演奏を拒否したことで暴動が発生した。
【翻訳編集】AFPBB News
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