(CNN) 北朝鮮は北部の中国国境付近に未申告の秘密ミサイル基地を保有しており、東アジアや米国の大部分へ「潜在的な核の脅威」を突きつけている可能性がある――。20日公表の新たな報告書で、そんな現状が明らかになった。

このミサイル基地は中国国境からわずか27キロに位置する。米戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書によると、核搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)最大9発と、移動式の発射装置が保管されているとみられている。

報告書はこの基地について、北朝鮮が申告していない15~20カ所の弾道ミサイル基地や弾頭貯蔵施設の一つだと指摘する。報告書は衛星画像の分析、脱北者や当局者へのインタビュー、機密解除された文書やオープンソースの情報に依拠している。

報告書は「これらのミサイルは東アジアや米国本土に対して潜在的な核の脅威をもたらすものだ」と警鐘を鳴らした。

プラネット・ラボが提供した衛星画像。このミサイル基地の8月12日の様子を示している/Planet Labs
プラネット・ラボが提供した衛星画像。このミサイル基地の8月12日の様子を示している/Planet Labs

北朝鮮は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記の下、ここ数年で兵器プログラムを強化しており、軍の急速な近代化や新兵器の開発、米国のほぼ全域を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験を行ってきた。

報告書によれば、この秘密基地は北朝鮮による核開発強化の取り組みの一環。

中央に川が流れる山間の狭隘(きょうあい)な谷に位置しており、面積は22平方キロと米ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港より大きいとされる。

専門家の間では、国境に近い位置が地理的な利点をもたらしているとの指摘も出ている。正確性に欠ける攻撃を行うと隣接する中国に影響が及びかねず、米国のような国が攻撃に慎重になる可能性があるためだ。

韓国ソウルの梨花大学に所属するリーフエリック・イーズリー教授は北朝鮮の意図について、「中国にこれほど近い位置に基地を建設することで、中国政府による対応がもたらす政治的リスクや不確実性を利用して、攻撃を抑止しようと試みているのかもしれない」との見方を示した。

衛星画像によると、基地の建設は2004年に始まった。報告書によれば、稼働開始は14年。これ以降、基地は「良好な状態に維持」され、現在も積極開発が続けられているという。

基地にどのモデルの弾道ミサイルが保管されているのかは現時点で不明。しかしCSISの研究者は、核搭載可能な「火星15」か「火星18」、あるいは未公表の別のタイプのICBMが配備されているとの見方を示している。

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