台湾の公的年金の一つが資金運用を委託する企業に対し、香港に登記された法人を契約先から除外するよう求めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。中国本土との関係が深まる香港の地政学的な課題が、あらためて浮き彫りとなっている。
約2352億ドル(約35兆円)を管理する台湾労働部(労働省)の労働基金運用局(BLF)は昨年以降、第三者の運用会社に対し、香港法人を契約から外すよう口頭で伝えている。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
BLFは雇用主が被雇用者向けに拠出が義務付けられている年金資金を扱っており、国際的な資産運用会社に対して株式や債券への投資を委託している。
中国経済を巡る懸念や金融リスクを理由に中国本土への投資には警戒感を示してきたが、グローバル展開している企業の香港法人に対する姿勢はこれまで開示されていなかった。
関係者によれば、BLFは昨年9月、サステナブル不動産証券に16億ドルを投じる契約先を選定する際、香港を「機微な司法管轄区域」に指定した。
BLFは契約先を選ぶ際、業務の質や手数料など複数の要因を考慮している。2023年9月にはノーザン・トラストの香港法人にグローバル株のパッシブ運用を委託していた。昨年8月時点で、自主運用しているポートフォリオには中国やロシアへの直接投資は含まれていないと説明していた。
一方、外部委託のオフショア投資では、運用会社が用いるインデックスにより、依然としてロシアと中国へのエクスポージャーが存在するという。BLFの中国本土投資は23年末時点で約15億8000万ドルと、全体の0.8%だった。BLFは電子メールでの問い合わせに対しコメントを控えた。
原題:Taiwan $235 Billion Pension Avoids Hong Kong Firms for Mandates (抜粋)
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