宦官に担がれた神輿に乗る清朝末期の独裁者、西太后(資料写真、http://puyi.netor.com/gallery, Public domain, via Wikimedia Commons)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ Martial Research & Management 主席経済顧問、元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)

 中国共産党の引退した長老と現役幹部が話し合う北戴河会議は非公式会議であり、その開催も閉会もアナウンスされないが、8月上旬に開催されるのが恒例である。

 今年(2025年)の北戴河会議は特に注目されていた。それは習近平の力が衰えており、北戴河において長老たちが習近平に引退を迫るという噂が流れていたからだ。

習近平の引退説はなくなった

 習近平が抜擢した軍の幹部が相次いで失脚した。またブラジルで開催されたBRICS首脳会議を欠席した。今年に入って共産党の機関誌である「人民日報」が習近平を扱うことが減り、かつ動静不明の日が続くなど、習近平の力が衰えたことを示すサインが複数出ていた。

 習近平引退説は主に海外に逃れた反体制派や反政府的な気功集団「法輪功」のメンバーが喧伝している。彼らの情報は信憑性に疑問符が付くものの、中国に知己が多いことから、その情報は一定の真実を含んでいる。希望的観測に基づくものも多いが、中国政治が秘密のベールに覆われている以上、そのような情報に頼らざるを得ない一面がある。

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