公開日時 2025年08月21日 05:00
タンザニアから来日し、製図の方法を学ぶ学生(左)=6月、山形県長井市の県立長井工業高
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琉球新報朝刊
少子化で日本の労働力不足が進む中、地域社会の働き手をアフリカから獲得しようとする動きが出ている。人口増加が続くアフリカでは、若者の失業や働き口の確保が課題。人材育成や技能移転を通じてアフリカと日本双方の利益となり、結び付きが強まると期待の声が上がる。20~22日の横浜市でのアフリカ開発会議(TICAD)は「若者」もテーマだ。(3面に関連)
6月、山形県長井市の県立長井工業高。タンザニアの職業訓練校の学生6人が真剣な表情で工業製品の製図の方法を学んでいた。アフリカ人材の受け入れ拡大を目指す国際協力機構(JICA)の育成事業で教員2人と共に来日し、約10日間滞在した。
一緒に授業を受けた日本の高校生とは英語でやりとり。ベアトリス・マケロさん(22)は「設備が充実した日本でもっと学び、将来は働いてみたい」と笑顔を見せた。
JICAなどによると、北海道長沼町の野菜農場では7月から、マダガスカルの男女3人が働き始めた。母国で日本語を学び、最長5年働ける特定技能の在留資格を取得。マダガスカルの主産業は農業で、3人は現地の農業学校を卒業したが働き口がなかったという。
鹿児島県鹿屋市のサツマイモ農場でも昨年秋にマダガスカル人を受け入れた。
アフリカの人口は現在約15億人。2050年に約25億人となり世界の4分の1を占めると予測される。一方、日本在留のアフリカ人は約2万5千人(昨年末)で、特定技能資格者は17人だけだ。
日本への受け入れには文化や習慣の違いも課題。JICAの担当者は「事業を広げ、アフリカの人たちと共生できる素地をつくりたい」と話す。
名古屋大大学院の山田肖子教授(国際開発学)は、日本とアフリカ間の人材面での互助関係が生まれつつあると指摘。日本で働く外国人の主な出身地域が、アジアからアフリカに移る可能性もあるとみる。「アフリカと関わる日本人が増え、拡大が続くアフリカ市場への日本の進出も促される」と話した。(共同=待山祥平)
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