
オーストラリア統計局が17日発表した6月の就業者数はわずかな増加にとどまった。失業率は2021年終盤以来の高水準に上昇。予想外に弱い内容で、来月の利下げを正当化する材料となった。写真は豪シドニーで2016年12月撮影(2025年 ロイター/Jason Reed)
[シドニー 17日 ロイター] – オーストラリア統計局が17日発表した6月の就業者数はわずかな増加にとどまった。失業率は2021年終盤以来の高水準に上昇。予想外に弱い内容で、オーストラリア準備銀行(中央銀行)による来月の利下げを正当化する材料となった。
就業者数は前月比2000人増。市場予想の2万人増を大きく下回った。5月は1100人減に上方改定された。
失業率は前月の4.1%から4.3%に上昇し、21年11月以来の高水準となった。失業率は過去数カ月ほぼ横ばいで推移していた。
統計を受け、豪ドルは0.7%安の0.6480米ドルを付けた。豪3年債先物は9ティック上昇の95.57。スワップ市場が織り込む来月の利下げ確率は85%と、統計発表前の76%から上昇した。
豪経済が停滞する中でも、労働市場は予想外に底堅さを示してきた。こうした状況などを背景に、豪中銀は今月の会合で市場の利下げ予想に反して金利を据え置いた。中銀は足元のサイクルで失業率が4.3%でピークを打つと予想していた。
6月はフルタイム雇用が3万8200人減少した。労働参加率は67.1%に小幅に上昇し、労働時間は5月の急増後、0.9%減少した。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアの経済調査責任者、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「まだ警報を鳴らす段階ではないが、6月の労働市場の軟化は中銀が利下げを急ぐもう1つの理由となる」と指摘。
「労働市場には多くの問題が押し寄せている。何よりもまず、トランプ米大統領の関税が企業投資の重しとなり、一部の企業が雇用計画を見直している」と述べた。
IGのアナリスト、トニー・シカモア氏は「労働市場には明確な減速の兆候が見られる。これは、成長と雇用よりもインフレを優先するという中銀の今月の決定に疑問を投げかけるものだ」とし「中銀は8月の会合で間違いなく埋め合わせをしたいと考えるだろう」と指摘した。
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