米ホワイトハウスの大統領執務室で会談するウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とドナルド・トランプ大統領(2025年8月18日撮影)。(c)Mandel NGAN/AFP
【AFP=時事】欧州連合はウクライナにおける「停戦」の呼び掛けを取り下げ、代わりにロシアに対し「殺りくを止める」ことを求めている。ドナルド・トランプ米大統領に耳を傾けさせるための表現変更だ。
トランプ氏は先週、アラスカ州でロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談したが、停戦で進展が見られなかったため、完全な和平合意の実現を目指す方向に転換した。
これを受け、つい先週まで和平交渉は停戦を前提とすべきだと主張していたEUは、表現を変えた。
欧州委員会のアリアナ・ポデスタ報道官は19日の記者会見で、「われわれのメッセージは、『殺りくを止める』ということだ。殺りくを止めるものなら何でも歓迎する」と述べた。
ポデスタ報道官の発言は、ベルギー・ブリュッセルで17日に行われたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との共同会見での、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長の発言を繰り返したものだ。
フォンデアライエン氏は、「言い方」よりも「実質」の方が重要だと主張。
「そして、実質とは殺りくを止めるものでなければならない」「それが最も重要な部分だ。停戦と呼ぶにせよ、和平合意と呼ぶにせよ、殺りくを止めるのだ」と述べた。
アントニオ・コスタ欧州理事会常任議長(EU大統領)は19日、ポルトガル・リスボンでの記者会見で、「第一歩として、ロシアは直ちに暴力をやめなければならない」「われわれの最優先事項は、殺りくを止めることだ。停戦と呼ぶか休戦と呼ぶかは二の次だ」と述べた。
欧州筋によると、トランプ氏は今、「停戦」という言葉を嫌っている。表現の変更は、ウクライナと欧州の安全保障に関する重要な交渉が進められる中、形式的な問題でトランプ氏の反感を買わないようにするのが狙いだという。
だが、欧州首脳は18日にホワイトハウスで行われた首脳会議で、基本的な要求に変わりはないことを明確にした。
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、「次回の会議が停戦なしに開催されるとは考えられない。停戦に向けて努力し、ロシアに圧力をかけよう」と述べた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「休戦、停戦、あるいは少なくとも殺りくを止めること」が「必要不可欠だ」と総括した。
【翻訳編集】AFPBB News
WACOCA: People, Life, Style.