アフリカ高級観光、地域住民に利益もたらさない=英大学研究

 英マンチェスター大学が19日、アフリカ研究レビュー誌で発表した研究結果によると、一部のアフリカ諸国が高級観光を誘致しようとする取り組みは地域社会に限定的な利益しかもたらさず、利益よりも損害が生じることが多いことが分かった。写真はリッツ・カールトンの高級サファリロッジ。7日撮影(2025年 ロイター/Thomas Mukoya)

[ロンドン 19日 ロイター] – 英マンチェスター大学が19日、アフリカ研究レビュー誌で発表した研究結果によると、一部のアフリカ諸国が高級観光を誘致しようとする取り組みは地域社会に限定的な利益しかもたらさず、利益よりも損害が生じることが多いことが分かった。

アフリカ大陸はビジネス旅行とレジャー旅行が増加し、観光業に携わる多国籍企業にとってますます市場の魅力が高まっている。航空会社もアフリカ路線の運航を拡大し、そうした勢いが経済的な影響につながっている国もある。

多くのアフリカ政府は高級観光の開発を「価値が高く、影響が小さい」と位置付けているが、今回の研究必ずしもそうではないことを示す。オールインクルーシブ型のリゾートはしばしば地域社会から隔離されており、地元の労働者をほとんど雇用せず、施設内であらゆるサービスを提供するため観光客は近隣地域で消費する機会がないという。

研究は、最も収益性の高いエコロッジは外国資本経営が多く、観光客の支出の大半が海外の旅行代理店、輸入食品、または国外に送金される利益に流れていると指摘する。利益が外国の運営業者や一部の地元エリートに集中する一方で、観光業の大半の職種の賃金は低水準にとどまっており、高級観光が格差を広げているとも主張している。

高級観光が問題を引き起こしている場所もある。ケニアは地元の活動家が先週、マサイ・マラ保護区に新設されるリッツ・カールトンの高級サファリロッジの開業を阻止しようと訴訟を起こした。このロッジは飛び込みプールや顧客専属バトラーサービスを備える。

この争いは東アフリカの草原地帯の高級観光とマサイ族の牧畜民の間で大きな問題となっている。マサイ族の牧畜民は観光開発が自らの居住地や生活様式を脅かしていると主張する。

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