インドのモディ首相は、ロシアのプーチン大統領を「友人」として称賛したほか、中国との関係強化にも動いている。トランプ米大統領による関税の脅しに直面する中で、インドが米国から距離を置きつつあることを示す新たな兆候だ。
モディ氏は、トランプ氏と先に首脳会談を行ったプーチン氏と電話会談を実施。インド政府の公式声明によると、両首脳は2国間協力について協議し、今後も緊密に連絡を取り合うことで一致した。
モディ氏は18日、X(旧ツイッター)への投稿で「インドは一貫してウクライナ紛争の平和的解決を求めており、これに関するあらゆる取り組みを支持する」と指摘。今後数日間のプーチン氏との「継続的な意見交換」を楽しみにしているとコメントした。
Thank my friend, President Putin, for his phone call and for sharing insights on his recent meeting with President Trump in Alaska. India has consistently called for a peaceful resolution of the Ukraine conflict and supports all efforts in this regard. I look forward to our…
— Narendra Modi (@narendramodi) August 18, 2025
モディ氏は19日に中国の王毅外相と会談する予定。王氏のインド訪問は3年ぶりとなる。
インドのジャイシャンカル外相は王氏との会談後、両国は関係改善を望んでいると述べ、米国の貿易政策が不透明な中で中国に歩み寄る姿勢を示した。
ジャイシャンカル氏は「われわれの関係は困難な時期を経てきたが、今、両国は前進を望んでいる」と語った上で、「意見の相違が対立となり、競争が衝突に発展してはならない」と強調した。
中国外務省の声明によると、王氏は「一方的ないじめがまん延している」ため、両国は「世界の多極化推進に向けて貢献すべきだ」と指摘。中印は「互いを敵や脅威ではなく、パートナーや機会として捉えるべきだ」と述べた。
動画:中国とインドが「いじめ」に対抗するために緊密な関係を模索する
Source: Bloomberg
今回の王氏によるインド訪問と外相会談は、中国で今月開催される上海協力機構(SCO)首脳会議を機に行われる予定の習近平国家主席とモディ氏の会談に向けた地ならしと位置付けられている。モディ氏の訪中は7年ぶりとなる。
中国とインドの関係は5年前の国境地帯での衝突後に悪化したが、ここにきて修復の兆しが見えてきている。両国からの輸入品に対するトランプ政権の関税措置やロシア産原油購入を巡る制裁の警告が中印の関係改善を急がせる要因にもなっている。
ホワイトハウスのナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)は、ロシアによるウクライナ侵攻後にインドのロシア産原油購入が急増していることについて、「日和見主義的」であり、クレムリンを孤立させプーチン氏の戦争遂行能力を抑え込もうとする世界的な取り組みに深刻な打撃を与えていると批判した。
ジャイシャンカル氏は、今回の外相会談が「インドと中国の間に安定的かつ協調的で前向きな関係を築く一助となることを期待している」と述べた。
原題:Modi Hails Putin as ‘Friend,’ Boosts China Ties After Trump Spat(抜粋)
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