アジア地域の大規模パラスポーツイベント「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」(以下、アジアパラ大会)が2026年10月に開かれる。9月から始まるアジア競技大会の終了後、名古屋市をメイン会場に、愛知県内で開催される。アジアパラ大会の日本での開催は初めてで、18の競技に45の国と地域から約4000人の選手およびチーム役員が参加する。これは約4400人の選手が参加した東京2020パラリンピックに次ぐ規模となる。

 アジアパラ大会も、パラリンピックと同様に競技を通して世の中の人に気づきを与え、より良い社会を作るための社会変革を起こすパラリンピックムーブメントを体現する大会だ。ただ、開催決定が2022年4月だったこともあり、準備不足から現時点では課題も多い。何よりも大会の存在自体があまり知られているとは言えない状態だ。アジアパラ大会の課題と、社会変革を起こすための取り組みを取材した。

(田中圭太郎:ジャーナリスト)

大会500日前イベントでカウントダウンボードが登場

 名古屋市の地下鉄栄駅にある地下街のサカエチカで、6月5日夕方から開催されたアジアパラ大会500日前イベント。大村秀章愛知県知事と広沢一郎名古屋市長らが除幕して、大会のカウントダウンボードがお披露目された。

カウントダウンボード(写真:筆者撮影)

 イベントでは、前回2022年の中国・杭州アジア大会で金メダルを獲得したほか、パラリンピックに3大会連続で出場しているパラサイクリングの川本翔大選手がゲストとして登場した。川本選手は広島県出身で、現在は愛知県内を拠点にして練習を行っている。

川本翔大選手(右)のトークショー(写真:筆者撮影)

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 高校生の時はWBC世界身体障害者野球大会に出場したが、パラサイクリングの体験会に参加したことをきっかけに競技を始め、わずか8カ月でリオパラリンピック出場を果たした。右足だけで漕げる愛用の自転車を見せながら、パラサイクリングの魅力や、アジアパラ大会への意気込みを語った。

「初めて陸上競技場のトラックを走ったときに、楽しいなと思って競技を始めました。もともと得意種目はトラックでしたけど、幅を広げてロードレースのロードタイムトライアルに今は力を入れています。しっかりメダルを取れるように頑張っていきたいと思います」

川本翔大選手(写真:筆者撮影)

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 会場には大会公式マスコットの「ウズミン」も現れて、写真撮影などに応じた。およそ1時間にわたったイベントには、多くの人だかりができていた。

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