アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談が、日本時間の19日午前2時すぎからホワイトハウスで行われました。両首脳によるホワイトハウスでの会談は、口論に発展したことし2月の会談以来です。
その後、イギリスやフランス、ドイツなどの5か国やEU=ヨーロッパ連合とNATO=北大西洋条約機構の首脳らも交えての会合が行われ、トランプ大統領は、停戦後のウクライナへの安全の保証をめぐり、ヨーロッパが主体となり、アメリカが支援していく枠組みになるという考えを示しました。
トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領やヨーロッパの首脳などとの会合のあと、みずからのSNSに投稿しました。この中でトランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領に電話したとした上で、「プーチン大統領とゼレンスキー大統領による会談に向け、場所も含めて調整を始めた。その会談が行われたあと、私も加わった3者会談を行う予定だ」としています。
首脳らの会合 冒頭部分の動画(23分32秒)
同時通訳:日比美和子 高山絵美
トランプ大統領「これまでのところ成功している一日」
トランプ大統領は会合の冒頭、「きょう起きたすべてのすばらしいことに感謝する。これまでのところ、とても成功している一日だ。ウクライナでの殺りくを終わらせ、戦争を止めるための重要な話し合いだ。私たちは皆、同じ目標のために取り組んでいる。非常にシンプルな目標だ。殺りくを止め、この問題を解決したい」と述べました。
トランプ大統領「プーチン大統領 安全の保証受け入れた」
トランプ大統領は、「アラスカでの会談を経て、プーチン大統領はウクライナへの安全の保証を受け入れた。これから、誰が何をするかを話し合うが、ヨーロッパの国々が主に負担し、われわれが支援することでしっかりしたものにしていく」と述べました。
トランプ大統領「領土交換の可能性 議論する必要ある」
トランプ大統領は「現在の前線を踏まえた領土交換の可能性についても、議論する必要がある。戦闘地域の最前線は、非常に悲惨な状況で、プーチン大統領の交渉姿勢を考慮する必要がある」と述べました。
トランプ大統領「3者会談 実現できるよう努める」
トランプ大統領は「われわれはできるかぎり早く、3者会談を実現できるように努める。ゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領との間で何らかの合意ができると感じている。最終的にこれは、ゼレンスキー大統領とウクライナの国民が、プーチン大統領と合意して共同で決める問題だ」と述べました。
トランプ大統領「和平合意を結ぶことは実現可能」
トランプ大統領は、「私たち全員が恒久的な平和に取り組むために即時の停戦を望んでいるのは明らかだ。いまの時点でそのようなことは起きていないが、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領はそのことについてもう少し話す余地はあるだろう。私はこのすべての終わりに和平合意を結ぶことは、非常に実現可能なことだと信じている」と述べました。
ゼレンスキー大統領「戦争を終わらせロシアを止めたい」
ゼレンスキー大統領は「私たちは敏感な話題について議論した。まず1つめが安全の保証についてだ。われわれは全員戦争を終わらせ、ロシアを止めたい」と述べました。
ゼレンスキー大統領「すべての捕虜の交換が重要」
ゼレンスキー大統領は「人道的な方向性としてすべての捕虜を交換することが重要だ。子どもたちを家族のもとに戻し、幸せにするという歴史的な役割を果たせることを願っている」と述べました。
ゼレンスキー大統領「領土含む問題 首脳レベルの3者会談で議論」
ゼレンスキー大統領は「領土を含むすべての敏感な問題について、首脳レベルの3者会談で議論する。トランプ大統領はそのような会談を調整しようとしている」と述べました。
ドイツ首相「停戦向けて努力 ロシアに圧力を」
ドイツのメルツ首相は「次回の会合が停戦なしに開催されるとは考えられない。停戦に向けて努力し、ロシアに圧力をかけよう」と述べ、まずはウクライナの停戦の実現をめざし、欧米が連携してロシアへの圧力を強めるべきとの考えを示しました。
トランプ大統領「戦いが終わるか続くか 1、2週間で分かる」
トランプ大統領は「このひどい戦いが終わるか続くか、1、2週間のうちに分かるだろう。双方の当事者が合意する意思を持っており、ともに歩み、合意できるか見極めながら『ディール』を成し遂げたい」と述べました。
イギリス首相 3者会談の必要性強調
イギリスのスターマー首相は「適切なアプローチをとれば、特に安全の保証に関して真の進展を得ることができると感じている。きょうはウクライナ、そしてヨーロッパの安全保障において重要な一歩を踏み出せると思う」と述べました。そのうえで「3者会談が理にかなった次のステップだ」として3者会談を行う必要性を強調しました。
フランス大統領「4者会談も必要」
フランスのマクロン大統領は、会合の冒頭で「3者会談に続き、おそらく4者会談も必要になるだろう。私たちが安全の保証について話すとき、同時にヨーロッパ大陸全体の安全について話しているからだ」と述べ、ヨーロッパの関与も必要になると強調しました。そのうえで「3者会談を実現するためには、トランプ大統領が提案したような停戦か、少なくとも交渉中に殺りくをとめる提案が必要不可欠だ」と述べました。
イタリア首相「安全の保証 平和の前提条件」
イタリアのメローニ首相は「平和を実現し、正義を保証したいのであれば、 私たちは結束して行動しなければならない」と呼びかけました。そのうえで、トランプ大統領がNATO=北大西洋条約機構と似たような安全の保証をウクライナに提供する用意があるとしていることについて、この案は当初、イタリアが提案したものだとしたうえで、「再び同じことが起こらないようにするにはどうすればいいか、それがあらゆる平和の前提条件だ」と述べました。
NATO事務総長 トランプ大統領の取り組みを称賛
NATOのルッテ事務総長は、「あなたはプーチン大統領との対話を開始し、行き詰まった状況を打破した。アメリカがウクライナの安全の保証に参加する意向があると述べたことは画期的だ」と述べ、トランプ大統領による取り組みを称賛しました。
トランプ大統領 会合を中断し大統領と電話会談
ドイツの複数のメディアは、アメリカのトランプ大統領が、ウクライナのゼレンスキー大統領やヨーロッパ各国などとの会合を中断し、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行ったと報じました。電話会談の内容については伝えていません。トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領との首脳会談の際に一連の会合のあとにプーチン大統領に電話すると明らかにしていました。
ロシア補佐官 米ロ電話会談行われたこと 明らかに
ロシア国営のタス通信によりますと、ロシア大統領府のウシャコフ補佐官は、トランプ大統領とプーチン大統領の間で電話会談が行われたことを明らかにしたということです。会談の中でプーチン大統領とトランプ大統領は、ウクライナをめぐる問題などで緊密に連携していくことで一致したとしています。
【米ウクライナ首脳会談】
トランプ大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談が、日本時間の19日午前2時すぎからホワイトハウスでおよそ1時間半行われました。
首脳会談 冒頭発言ノーカット動画(26分17秒)
同時通訳:日比美和子 高山絵美
トランプ大統領「きょうの会合は非常に重要」
トランプ大統領は首脳会談の冒頭、「つい先日、ロシアの大統領とよい会談を行った。そこから何かが生まれる可能性もあると思う。そして、きょうの会合は非常に重要だ。ヨーロッパから7人の非常に強力なリーダーが集まっており、この会合の直後に彼らと会談することになっている。来てくれてありがとう」と述べました。
ゼレンスキー大統領「トランプ大統領の努力に感謝」
ゼレンスキー大統領は「トランプ大統領の努力に感謝している。われわれには戦争を終わらせる用意がある」と述べました。
ゼレンスキー大統領「3国間協議を行う用意がある」
ゼレンスキー大統領は「3国間での協議を行う用意がある」と述べ、ロシアのプーチン大統領との会談に臨む用意があるという考えを改めて表明しました。
トランプ大統領「われわれは永続的な平和を実現する」
トランプ大統領は「もし平和が実現した場合、われわれはそれが長く続くことを確実にしたいと考えている。2年間の平和について話しているのではない。そうすれば同じようなことが起きてしまうからだ。すべてがうまくいくように、ロシア、そしてウクライナと協力していく」と述べました。その上で、「われわれは永続的な平和を実現する。すぐに実現することを願いたい」と述べました。
トランプ大統領 欧州首脳らと安全の保障について協議へ
トランプ大統領はウクライナが求める安全の保証について、記者団から「アメリカ軍が関与するのか」と質問されたのに対し、「きょう、このあとわかるだろう。7人の偉大なリーダーたちと話し合いが予定されていて、これについて話し合う。彼らは安全保障に関与するだろうし、多くの協力を行うだろう。それはいいことだ。彼らはヨーロッパにいるのだから、第一線の防衛ラインにいる。だが、私たちも彼らを支援するつもりだ」と述べました。
ゼレンスキー大統領「選挙を行う用意はある」
ゼレンスキー大統領は記者団から選挙を行う考えがあるか聞かれたのに対し、「選挙を行う用意はある。戦争中はできないが、可能だ」と述べ、停戦が実現するなどすれば選挙を行うことができるという考えを示しました。
トランプ大統領 戦闘中も和平交渉は進められる
アメリカのトランプ大統領は記者団から「あなたが警告していたようにロシアが停戦に同意しない場合、深刻な結果を招くことになるのか」と問われたのに対し、「停戦は必要ないと思う。私がことし成立させた協定を見れば私はいかなる停戦も行ってこなかった」と述べました。その上で、「停戦という考えを支持する理由はすぐさま殺りくを止められることにある。しかし、戦闘が続く間でも和平に向けた交渉は進められる」と述べました。
トランプ大統領「有効な保護と安全を提供する」
トランプ大統領は、ウクライナが求めている安全の保証をめぐり「これから議論をするが、われわれは、非常に有効な保護と安全を提供する。会談を待っているヨーロッパの指導者たちも同じような考えだと思うし、支援をしたいと考えていると思う」と述べました。
ゼレンスキー大統領 “安全の保証 すべて必要”
ゼレンスキー大統領は会談の冒頭で、アメリカからどのような安全の保証が必要かと記者団から聞かれたのに対し、「すべてだ。1つめについては、すでにわれわれの同僚と議論を始めているが強いウクライナ軍だ。これは、武器や人員、訓練や情報収集などを含んでいる。2つめは、パートナーたちと議論する」と述べました。
トランプ大統領 “会談後すぐにプーチン大統領に電話する”
トランプ大統領は「先ほどロシアのプーチン大統領と間接的に話をしたところだ。そして、きょうの一連の会談が終わったらすぐに電話で会談する予定だ。3者会談を実施できなければ、戦闘が継続する。実施できれば、戦闘を終わらせるチャンスは十分にある」と述べました。
【記者解説】会談の発言 ポイントは
解説動画(5分3秒)
会談に先立ち 両首脳がSNSに投稿
トランプ大統領は会談に先立ち、SNSに投稿し、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアについては「取り戻すことはできない」とした上で、「NATOにウクライナが加盟することもできない」としてゼレンスキー大統領が譲歩することが必要だと主張しました。
一方のゼレンスキー大統領は、ワシントンへの到着後、SNSで「この戦争を迅速に確実に終わらせたいという願いをみんなで共有している。平和は永続的でなければならない」などと訴えました。
ゼレンスキー大統領 首脳会談前に米特使と会談
ゼレンスキー大統領はトランプ大統領との首脳会談に先立ち、トランプ政権でウクライナを担当するケロッグ特使と会談しました。
このあとゼレンスキー大統領はSNSに投稿し、「ヨーロッパの1つの国のための平和が議論されることは、ヨーロッパ全体のための平和が議論されることを意味する」として、ウクライナとヨーロッパ各国との連帯を強調しました。
そのうえで「われわれは戦闘の終結と信頼できる安全の確保に向けて、引き続き最大限の努力を続ける用意がある。これは重要な問題だ」として、トランプ大統領との首脳会談では安全の保証をめぐって議論を行いたいという考えを示しました。

WACOCA: People, Life, Style.