ホワイトハウスのナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)は、ロシアによるウクライナ侵攻後にインドのロシア産原油購入が急増していることについて、「日和見主義的」であり、クレムリンを孤立させプーチン大統領の戦争遂行能力を抑え込もうとする世界的な取り組みに深刻な打撃を与えていると批判した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)への寄稿文でそうした見解を明らかにした。
ナバロ氏は寄稿文で、インドの貿易障壁と、自らが「ロシアへの金融支援」と位置付ける取引を関連付け、米国に不利益をもたらすものだとした。同氏はかねてから強硬派として知られ、トランプ米大統領の関税政策を後押ししてきた。
「米国の消費者はインド製品を購入する。インドはそのドルを使い、値引きされたロシア産原油を買っている」と同氏は指摘した。
インドは従来、ロシア産原油の主要な輸入国ではなく、中東への依存がより強かった。しかし、状況は2022年に変わった。ウクライナ侵攻後、主要7カ国(G7)がロシア産原油について1バレル=60ドルの価格上限を設け、クレムリンの石油収入を制限しつつ世界供給を維持しようとしたためだ。
データ分析会社クプラーによれば、21年にはインドの輸入全体に占めるロシアの割合はごくわずかだったが、現在は約37%を占めている。
ナバロ氏は「この輸入急増は国内の石油需要に起因するものではない。実際に取引を動かしているのはインドの大手石油ロビーによる利ざや稼ぎだ」と分析。「事実上、インドはロシア産原油の世界的なクリアリングハウス(清算・決済機関)として機能し、禁輸措置となった原油を高付加価値の輸出品に変換しながら、ロシア政府に必要なドルを提供している」と批判した。
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原題:India’s Russian Oil Purchases Are ‘Opportunistic,’ Navarro Says(抜粋)
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