フリーアナウンサー・宇賀なつみさんの6回目となる大分県の旅。今回は、開運トリップをテーマに、宇佐・国東(くにさき)半島へ。御鎮座1300年を迎える今こそ訪れたい、祈りの聖地・宇佐神宮。そして運を味方につけると話題の「勝負めし」など、ご利益とパワーをチャージするとっておきのスポットをご案内します。
大分県の最強パワースポット、
宇佐神宮で運気アップ
大分空港を出発し、国東半島を車で1時間ほど横断して宇佐神宮へ。
宇佐神宮は、全国に約4万社ある八幡様の総本宮。725年に八幡大神(はちまんおおかみ)が降り立った、八幡信仰の始まりの場所です。「宇佐神宮はずっと来たかった場所なんです!」と、令和という新たな時代に1300年の節目を迎えたこのタイミングで、初めて宇佐神宮を訪れた宇賀さん。
木々を渡る風、蝉の声、砂利を踏みしめる音がささやくように聞こえてきます。
仲見世通りから境内に進み、大鳥居をくぐると、目の前に広がるのは凛とした空気に包まれた長い参道。悠久の時を感じさせる境内から、宇佐神宮がいにしえから大きな存在だったことがうかがえます。神域に一歩足を踏み入れると、心が浄化されるようで、ただ歩くだけで心がすっと整っていくよう。
手水舎で身を清め、上宮へ。
実は宇佐神宮には、かつては寺も存在していたのをご存じでしょうか。八幡様がお参りするために〈弥勒寺〉という寺を設け、神様と仏様がともに祀られたこの地で神道と仏教が融合した「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という独自の文化が花開きました。
宇佐神宮の鳥居は「宇佐鳥居」と呼ばれる独自のかたち。
上宮入口の参道は、天然記念物のイチイガシの原生林が一帯を覆います。「真夏の強い日差しをやわらげてくれて、一層神聖に感じられますね」(宇賀さん)
一段一段踏みしめながら、上宮を目指します。
参道の石畳のなかに「夫婦石」を発見! 踏むと良縁に恵まれるのだそう。
左右対称で寄り添う三角の「夫婦石」。
ブナ科の常緑広葉樹であるイチイガシの鎮守の杜を抜けると、上宮の入口、西大門(さいだいもん)が現れます。
西大門は平安時代につくられ、県指定の重要文化財で宇佐神宮を代表する建造物のひとつ。西大門は普段は閉じていますが、この日は運よくくぐることができました。
唐破風(からはふ)と呼ばれる建築様式で、朱塗りの門に細かな彫刻が美しく、鮮やかな色合いが目を引きます。
青空と緑にまぶしく映える本殿へ。
いよいよ上宮へ。
左から一・二・三之御殿と順番にお参り。一之御殿は八幡大神(はちまんおおかみ)、二之御殿は比売大神(ひめおおかみ)、三之御殿は神功皇后(じんぐうこうごう)が祀られています。
宇佐神宮の権禰宜(ごんねぎ)、山本宗龍さんが案内してくれました。
国宝に指定された本殿。八幡造(はちまんづくり)という建築様式で、檜の皮を重ねてつくられた「檜皮葺(ひわだぶき)」の屋根が特徴です。
時間をかけて手を合わせていた宇賀さん。何をお願いしていたのでしょうか。
宇佐神宮の参拝方法は全国でも珍しい「二拝四拍手一拝」。「昔は神社それぞれのお参りの仕方があったそうですが、宇佐神宮ではこの作法が古くからそのまま残っています」(山本さん)
3つの御殿を丁寧にお参りする宇賀さんの姿が印象的でした。「いつも神様にお願いはしないんです。最近の報告と、これからの目標を伝えていました」と宇賀さん。神様と仏様に近況を宣言することで自分自身を振り返り、宇賀さんの次の活力にもつながると教えてくれました。
「すごくつるつるしてる!」(宇賀さん)。御神木である推定樹齢約800年の大楠にたくさんの人が触れて、いろんな願いごとを伝えている証拠。
宇佐神宮の敷地内には全部で20の神社があり、上宮だけでも一・二・三之御殿、御神木、4つの神社が。宇佐神宮を巡る際は、お賽銭の小銭をたっぷり持って歩くことをおすすめします。
お守りやお札と、たくさんの授与品が並びます。
授与所でオリジナルのお守りを記念に。厄除けや開運、家内安全など、たくさんのご利益がいただけますが、八幡様は武運の神様なので、勝負運をあと押ししてくれます。
上宮の裏にある御霊水へ。ここは八幡様が初めて現れたといわれる場所。上宮とはまた違った、清らかな気に満たされているよう。
上宮裏の蓮形池のほとりに3つの井戸があります。
「かつては刀をつくる際にこの水が使われていました。今でもお清めの水として持ち帰っている参拝客が多くいらっしゃいますよ」(山本さん)
井戸の奥まで見えるほど澄んだ御霊水。
「きれいな水! すごくひんやりして、今日の暑さみたいな日は浴びたいぐらい!」と、手を清める宇賀さん。
参拝途中、祓所(はらえど)で行われていた祭事に遭遇。
訪れたこの日は、毎月1・15日に神社で行われる「月次祭(つきなみさい)」の日。神職たちが感謝と祈りをささげる厳かな姿も相まって、静寂な空気が漂っていました。こんな光景に偶然立ち会えたことも、この旅の小さなご縁だったのかもしれません。
宇佐神宮は上宮から下宮をまわるのが作法。どちらかだけのお参りは「片参り」になるので、順序通りに巡りましょう。
下宮でもしっかりと手を合わせていた宇賀さん。
下宮にも、上宮と同じように一・二・三之御殿が並んでいます。
下宮から近い場所にある貴重な文化財もお見逃しなく。西参道の寄藻(よりも)川にかかる「呉橋(くれはし)」は、珍しい屋根つきの神橋。
宇賀さんが立つ神橋の奥に見えるのが、呉橋。
呉橋は、普段は扉が閉められていますが、10年に1度行われる、天皇からのお遣いである勅使がお供え物を奉献する宇佐神宮最大の重儀〈臨時奉幣祭(勅祭)〉(りんじほうべいさい ちょくさい)のときのみ、勅使を迎えるために開かれます。その10年に1度というのが、御鎮座1300年を迎える今年の10月6日。祭典を祝し流鏑馬(やぶさめ)神事や花火も上がる予定です。
呉橋の正面へ。「誰も通ることができない特別感がありますね」(宇賀さん)
広大な敷地に続く神社やいくつもの大きな鳥居から、かつての栄華の名残が随所に感じられ、宇佐神宮が歴史と文化に与えた影響力の強さを想像することができます。
「長い歴史の分だけ、地域のたくさんの方たちから愛されている場所だということがわかりました」(宇賀さん)
宇佐神宮
address:大分県宇佐市南宇佐2859
tel:0978-37-0001
access:JR宇佐駅から車で約10分、東九州自動車道・宇佐ICから約15分
営業時間:6:00〜18:00(上宮の開門時間 ※正月期間中を除く)
定休日:無休
駐車場台数:500台(有料)
web:宇佐神宮
宇佐神宮の歴史や文化を満喫した帰り道、仲見世通りに立ち寄るのもおすすめです。
宇佐市の名物「ねぎ焼き」や「宇佐からあげ」など、食事処や土産物店が軒を連ねています。
その一角に、すてきなカフェを発見。〈KURU〉で涼んでいきましょう。
実は名人戦の勝負ドリンクに選ばれた縁起のいい同店。永瀬九段が3回注文したそう。
宇賀さんが選んだのは「イチゴミルクかき氷」。大分県産のブランドイチゴ〈ベリーツ〉を1.5パック分使ったぜいたくな手づくりソースに、ミルクソースと大豆ホイップがとろり。
「イチゴミルクかき氷」1280円
宇佐神宮の広い境内を歩いたあとにうれしい、ひんやりスイーツ。
「どこを食べてもイチゴが感じられて、氷もふわふわなのでぺろりといけちゃいそう」と感動しきりの宇賀さん。ベリーツを煮詰めたシロップと、ゴロゴロとした果肉、大豆ホイップのさっぱりした味わいに、ひと口食べ始めたら止まりません。
「神社仏閣は訪れるだけで心が落ち着きます。宇佐神宮は杜に囲まれていて心地よい場所ですね」(宇賀さん)
KURU
address:大分県宇佐市南宇佐2211-1-3
tel:0978-37-1090
access:JR宇佐駅から車で約10分、東九州自動車道・宇佐ICから約15分
営業時間:11:00〜17:00
定休日:不定休
駐車場台数:なし(宇佐神宮の有料駐車場を利用)
Instagram:@kurucafe.zakka
宇佐神宮対局「勝負めし」で、
縁起を担ごう
宇佐神宮では、御鎮座1300年を記念して、将棋界の歴史あるタイトル戦「第83期将棋名人戦七番勝負 第4局 宇佐神宮対局」が2025年5月に開催されました。舞台となったのは、宇佐神宮にある勅使斎館(ちょくしさいかん)です。
対局場となった勅使斎館。勝負の神様が見守るなか、白熱の一局が繰り広げられました。
藤井聡太名人と永瀬拓矢九段の緊迫した対局と同じく話題を集めたのが、おふたりの真剣勝負を支えた宇佐ならではの縁起と心意気が込められた「勝負めし」。そのなかからふたつの開運メニューをご紹介します。
勝負めし① 永瀬拓矢九段が選んだ、うなぎ処四代目志おや
「宇佐神宮の色・紅白まぶし名産添え」「宇佐神宮の色・紅白まぶし名産添え」6300円
備長炭で香ばしく焼き上げた蒲焼と、オリジナルの〈鰻塩(うじお)〉をまぶした白焼きの2種類を紅白に見立てたひつまぶし。最初の1杯はそのままで、2杯目は宇佐市の特産品であるゆずごしょうや〈味一ねぎ〉をのせて味変、3杯目はだしをかけていただきます。
蒲焼は背開きにし、刷毛を使ってたれをつけながら表3回・裏3回、たれで焼き目をしっかりつけます。
志おやの2代目が塩の卸売業と同時にうなぎ屋も始めたというエピソードにちなんで、白焼きに合うこだわりの塩を使用。
「たれの旨みがしっかり染みた蒲焼と、うなぎ本来の風味を堪能できる白焼きの両方が一度に味わえるなんて、本当に贅沢ですね。蒲焼はわさびで、白焼きはゆずごしょうが合う! これはお酒が欲しくなります」(宇賀さん)
うなぎ処四代目志おや
address:大分県宇佐市大字石田177-2
tel:0978-32-6752
access:JR宇佐駅から車で約15分、東九州自動車道・宇佐ICから約10分
営業時間:11:00〜21:00(14:00〜17:00は持ち帰りのみ。ラストオーダー20:30)
定休日:年末年始
駐車場台数:42台
web:うなぎ処四代目志おや
開運グルメ② 藤井聡太名人が選んだ、うどんや大黒
「大黒とり天濃厚温玉ぶっかけうどん」「大黒とり天濃厚温玉ぶっかけうどん」1290円
オーナーが打つ純手打ち麺に濃厚な温玉、ショウガとワサビを添え、カツオ節からとった特製のだしをかけて。つるつるとした麺はコシも強く、食べ応え抜群です。
大分名物とり天の歯ごたえはさっくり、しっとりとやわらか。下味のうどんだしと自家製ポン酢との相性は言うことなし。
うどんや大黒
address:大分県宇佐市大字江須賀313-2
tel:0978-38-0993
access:JR宇佐駅から車で約10分、東九州自動車道・宇佐ICから約15分
営業時間:昼 11:00〜14:30L.O.、夜 17:00〜20:00L.O.
定休日:月曜
駐車場台数:15台
web:うどんや大黒
名人戦の勝負めし・勝負ドリンク・勝負スイーツはまだほかにも。宇佐市内の各店舗で楽しめます。
安心院ワインで
自然の恵みとパワーを味わう
旅の後半に目指したパワースポットは、安心院(あじむ)にあるワイナリー。実は、宇佐神宮御鎮座1300年の慶事を祝してつくられる限定生産ワインが、このワイナリーで完成間近。13年かけて育てたオリジナル品種のワインがデビューするそうで、2025年10月に宇佐神宮で執り行われる「臨時奉幣祭(勅祭)」で奉納される予定になっています。
〈安心院葡萄酒工房〉では、安心院盆地特有の気候を生かして育てたぶどうでワインをつくっています。“杜の中のワイナリー”をコンセプトに、緑豊かな園内には醸造所や貯蔵庫、ぶどうの自社農園、ショップなどが点在。試飲やショッピングも楽しめるということで、お酒好きの宇賀さんは、この日一番軽い足取りで園内へ向かいました。
安心院盆地は霧が深く、朝夕の気温の寒暖差が激しいため、果物の栽培に適しています。
原料にもこだわり、ワインのためのぶどうづくりをスタートして20年。現在は30ヘクタールの自社畑でワイン専用のぶどうを約30品種育てているとのこと。九州で初めてワインをつくったのがこの安心院なのだそう。
安心院葡萄酒工房の岩下理法さんに案内していただきました。
約350本の樽が並ぶ貯蔵庫で「いい香り!」とテンションが上がる宇賀さん。
特別に貯蔵庫の中も見せてもらうことに。
貯蔵する樽の一番のポイントは、ワインの熟成の決め手となる、樽の内側を焦がす加減。ワイナリーによって考え方はいろいろあり、安心院葡萄酒工房ではさまざまな焦がし加減の樽を利用し、ワインに複雑味を与えているのだそう。また、木材の産地、種類も豊富な仕様の樽を使うとのこと。
「せっかくだから全部飲んでみたい!」と目を輝かせてグラスを手に取る宇賀さん。
宇賀さん念願のテイスティング。有料(1000円)の試飲コーナーでは、安心院葡萄酒工房の売れ筋のワインを好きなだけ飲むことができます。
それぞれのおいしさがあって、永遠に飲んでしまう……。
「元気が出たー!」と満面の笑み。宇賀さんのイチオシワイン
安心院ワイン シャルドネ リザーブ2024(4333円)
「とにかくさっぱり! キレがいいので、暑い時期にぴったり。ラベルもかわいいですね」(宇賀さん)
安心院スパークリングワイン(3851円)
「すごく飲みやすくておいしかった。自分用にも買いたいです!」(宇賀さん)
安心院ワイン 極果(ごっか) 小公子2020(9141円)
「ざらつきのない深みのある後味がいいですね」(宇賀さん)
試飲して出合ったお気に入りのワインは併設されているショップで購入できます。
安心院葡萄酒工房では11月上旬には新酒祭も開催され、多くの人でにぎわいます。秋は紅葉も美しいワイナリーへぜひ。
安心院葡萄酒工房
address:大分県宇佐市安心院町下毛798
tel:0978-34-2210
access:JR宇佐駅から車で約30分、東九州自動車道・宇佐ICから約15分
営業時間:9:00〜16:00(園内見学17:00まで)
定休日:火曜(祝日の場合は営業)、年末年始
駐車場台数:約160台
飲酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は、法律で禁止されています。
web:安心院葡萄酒工房
「宇佐神宮にずっと来てみたかった」と語っていた宇賀さん。今年の御鎮座1300年というタイムリーなときに宇佐エリアを巡る旅がかなったのは、宇賀さんが宇佐・国東半島の神様仏様に導かれたご縁かもしれません。
「安心院葡萄酒工房もとても興味深かったです。自社のぶどう畑がすばらしくて……何杯試飲したかわからないくらい。英気を養いました(笑)」と語る表情からも、パワーチャージできた様子が伝わってきました。
次は宇佐市のおとなり、豊後高田市へ。どんなパワースポットが待っているでしょうか。
credit text:牧亜希子 photo:ただ(ゆかい) hair & make:室橋佑紀 styling:近藤和貴子
衣装クレジット セットアップ19800円(ココディール)、トップス15400円(セルフォード/セルフォード ルミネ新宿2店)、イヤリング8800円(アビステ)、リング9900円(ノジェス)
以上、価格はすべて税込み
WACOCA: People, Life, Style.