スペイン7季目となる日本代表MF久保建英(24)にとって、レアル・ソシエダードでの4季目が間もなくスタートする。
Rソシエダード久保建英(2025年7月撮影)
■欧州カップ戦復帰目指す
リーグ戦を11位で終えた昨季の結果を受け、クラブは6季半続いたイマノル・アルグアシル体制を一新し、今季はBチームを3部リーグ・グループ1の最小失点チームに作り上げ、2部昇格の立役者となったセルヒオ・フランシスコをトップチームの監督に据えた。
チームは欧州カップ戦復帰を目標に、中盤の大黒柱スビメンディの代役探し、得点力不足の解消といった課題を抱えながら、7月7日にプレシーズンをスタート。セルヒオ・フランシスコ監督は日本ツアーを含む7試合で総勢37人を起用し、3勝3分け1敗、10得点5失点という成績で終了した。
イマノル・アルグアシルが重用した4-3-3、3季前にダビド・シルバをトップ下に置いてうまく機能した中盤ダイヤモンド型の4-4-2を併用し、戦術面で柔軟に対応できることを示したものの、得点面や決定力において、そこまでポジティブなイメージを残せなかった。キックオフ時に使用した回数(4-3-3=5回、4-4-2=2回)や選手の起用法を見る限り、バレンシアとの開幕戦には4-3-3で臨む可能性が高いだろう。
日本ツアーから合流した久保のプレシーズン成績は、5試合(先発3試合)出場、1得点1アシスト。ポジションはすべて昨季と同じ4-3-3の右ウイングだったが、地元紙では特に最初3試合のパフォーマンスが高評価されていた。
■Aマドリード補強候補に
久保に関しては去就が気になるところだが、ここにきてスペイン大手紙が、アトレチコ・マドリードの獲得候補に挙がっていると報じた。選手を1人売却した場合に限り、代役のいないシメオネ監督の三男ジュリアーノと競えるドリブラーの補強に動く可能性があるという。
しかし現時点でAマドリードのEU圏外枠に空きはなく、イングランドやイタリアのクラブに興味を持たれているナウエル・モリーナかギャラガーの売却が必須であること、もう1人の候補者であるユベントスのアルゼンチン代表FWニコラス・ゴンサレスの方が有利な状況にあること(※イタリアとの二重国籍を保持。すでに打診済みとの情報あり)、久保の契約解除金が6000万ユーロ(約102億円)と安くないこと、そしてRソシエダードが久保を売却した場合、同じ街のライバルチームのレアル・マドリードにキャピタルゲイン(購入価格と売却価格の差による収益)の50%が支払われること、これら全ての状況を考慮すると、今夏移籍のハードルは高いと言えるだろう。
仮にこの移籍が実現した場合、久保はジョアン・フェリックス、フリアン・アルバレス、トマ・レマルに次ぎ、ジエゴ・コスタと並んでAマドリード史上4番目に高額の移籍金で加入する選手となる。
久保建英(手前左)らRソシエダードの選手たち(2025年7月撮影)
■サディクら5人も退団へ
移籍市場が活発に動く中、Rソシエダードは補強の遅さをずっと指摘されてきた。今夏チームを去ったのは、スビメンディ(アーセナル)、オラサガスティ(レバンテ)、マグナセライア(エイバル)。さらにサディク、カルロス・フェルナンデス、オドリオソラ、ベッカー、ハビ・ロペスの5人とも背番号を与えられておらず、バレンシア戦も招集外のため、退団の可能性が高い。
対してここまでに獲得した選手はわずか2人のみ。そのほか、期限付き移籍から戻ってきたデ・サラテ、ゴロチャテギ、カリカブル、Bチームから昇格したゴティが加わった。
スビメンディの代役としてアル・カーディシーヤ(サウジアラビア)のアルゼンチン代表MFエセキエル・フェルナンデスが最有力候補に挙がっていたが、獲得はほぼ不可能な状況だ。ジョキン・アペリバイ会長は新たなMF獲得について質問された際、チームの現状に満足しており、好条件の選手がいない限り動かないと明言している。
そのためセルヒオ・フランシスコ監督は既存メンバーの中から、昨季2部のミランデスで修行を積み、スビメンディの4番を引き継いだゴロチャテギにその役割を託すことを決めたようだ(※バレンシア戦は右足首負傷で欠場)。
守備の要アゲルドの抜けた穴は、リヨンからクロアチア代表DFチャレタ=ツァルを期限付き移籍で獲得したことでカバーしている。また、今季はセルヒオ・ゴメスが左サイドバックで起用される可能性がある。
■課題は昨季の得点力不足
昨季のチームは深刻な得点力不足の問題を抱えていた。リーグ戦38試合中19試合無得点は20チーム中最下位。総得点35ゴールはマジョルカと並び下から3番目。欧州カップ戦に返り咲くためにも、セルヒオ・フランシスコ監督が真っ先に克服すべき課題である。
この問題を解消するため、前線のさまざまなポジションでプレーできるポルトガル代表FWゴンサロ・ゲデスを獲得した。唯一出場したプレシーズンマッチでは右ウイングでテストされていた。近年の成績を見るとやや不安はあるものの、現地では久保、オヤルサバル、バレネチェア、オスカルソンと前線のポジションを争う活躍を期待されている。
Rソシエダードは間もなくバレンシア相手に今季の戦いをスタートする。1部リーグで初めて指揮を執るセルヒオ・フランシスコ監督がどのようなメンバーで臨むのか、そして久保がどのような役割を果たすのかに注目していきたい。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)
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