パビリオンDATA

設計
LAVA(Laboratory for Visionary Architecture)
監理
日企設計
エリア
コネクティングゾーン
テーマ
循環経済

ドイツパビリオンの見どころポイント!

循環を体現する筒形の木造建築
会期終了後は移植される豊富な緑化資材
パビリオン自体が循環型・持続可能な建築という出展作品

「サーキュラー・エコノミー」を円筒型で体現したパビリオン
ドイツパビリオン

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

〈ドイツパビリオン〉のテーマは「循環経済(サーキュラー・エコノミー)」。タイトルは「わ! ドイツ」です。「わ!」には、循環の「環(わ)」、調和の「和(わ)」、 感嘆の「わ!」の3つの意味を込めています。

パビリオン自体が循環型・持続可能な建築の出展作品となっており、建築・景観・展示を一体化し、ほかではできない体験を提供します。その体験を通し、循環型未来へと続く道を歩んでいただけます。

展示テーマと完全に一体化したパビリオン建築がドイツの万博出展の特徴ですが、今回もそれを目指します。サークル状の木造建築は、「循環」というメインコンセプトが一目でわかるデザインになっています。

筒形ユニットがそれぞれに接合するかたちで配置され、展示エリアとレストランエリアという建物アンサンブルを構築しています。レストランに面しているグリーンガーデンは自由に行き来できます。展示の見学だけではなく、気ままな散策とくつろぎの空間を提供します。屋外エリアには〈ドイツパビリオン〉のイベントステージも併設されています。

ドイツパビリオン

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

建材
ドイツパビリオンには、環境に優しい循環型建物に適した建材を選んで使用しています。持続可能な循環型建物の未来像を展示するという意味で、パビリオン自体が歩いて体験できる出展作品になっています。

このような観点から、建物支持構造にはマツ材を使用しています。早生植物である竹はCO2吸着建材として優れています。梁も万博終了後に建材としてスムーズに再利用できるように寸法設定されています。

また、筒型構造物は真壁工法の家と同様の構造で、その面材にはプレハブパネルが使用されています。リサイクル可能な建造物という観点から、プレハブパネルにはできるだけ現地調達できる2次原材料を使用しています。その意味で、この原材料の面材を使った真壁造りは模範的な施工例であり、ドイツの優れた伝統的な建築工法のよさを見直すきっかけになると考えています。多様な自然素材や2次原材料を使用したパネルは、環境に優しい最先端の建築技術です。

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

ドイツパビリオン

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

空調設計
持続可能な設計のために、〈ドイツパビリオン〉は室内気候も重視しています。〈ドイツパビリオン〉屋内外で来場者に快適に過ごしていただきながら、資源消費とCO2排出量を最小限に抑えなくてはなりません。これを可能にするのが、徹底したパッシブ設計と循環型のモジュール式建築設備です。

会期中における会場全体の気候条件に応じて、屋内外の空間を最適に制御します。そのために、サイコメトリックグラフ(心理測定的データ)や温湿度の統計データを作成し、風配図や太陽高度を分析することで、現場の環境に最も適した空調設計を行っています。

ドイツパビリオン

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

景観
〈ドイツパビリオン〉の大きな特徴は、その屋外施設です。体験型の生物圏(バイオスフィア)として、高い居住性と心躍るビジター体験の両方を提供します。未来都市において厳選した植物による計画的な緑化は持続可能な開発目標の達成を助けるものですが、同様にドイツパビリオンの植物も観賞用にとどまらず、CO2排出量の削減、空気の浄化、食物生産、保水機能といった数多くのメリットをもちます。

パビリオンを彩る植物はレンタルで調達し、万博が終了したら近隣の別の場所に移植されます。〈ドイツパビリオン〉敷地内の床材や舗装面には現地で一般的な資材が使用され、エレメントを結合させない建築工法により、これらの資材のリサイクルが可能になっています。

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

水資源
都市圏において水の蒸発は、市街地の冷却に非常に重要な役割を担っています。蒸発による冷却効果をもたらす緑化施設は、都市圏では非常に限られています。⁠⁠

そのため、〈ドイツパビリオン〉の景観には、雨水を蓄え、徐々に蒸発させる効果をもつ透水性舗装が採用されています。グリーンルーフ、浸透窪地、各所に設けられた緑化施設により水が蒸発しやすい条件を整えています。グリーンルーフも水資源管理戦略の一端を担います。屋上緑化は建物に降る雨水の大半を貯留することができ、下水道施設の負荷を軽減させる効果があります。

さらに、一部の建物の下に、再生プラスチックモジュールから構成されたシステムの雨水貯水槽が埋設される計画です。それによって建物周囲の広場、屋上、緑地施設から集めた雨水を貯蔵し、植物への散水をほぼ完全に賄うことができます。

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

建築DATA

主催:ドイツ連邦経済・エネルギー省
設計:LAVA – Laboratory for Visionary Architecture
監理:日企設計
構造:木造
敷地面積:約3,500 m²

組織運営:Koelnmess
建築監督:Laumann / Scheßl / Weismüller Architektur + Baumanagement
展示企画、設計、施工・制作:facts and fiction / GL events

 

テキスト、写真はドイツパビリオン公式サイトより
トップ画像:©︎German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura

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