1968年メキシコ五輪で獲得した銅メダルを胸に祝杯をあげる釜本邦茂さん(右)と杉山隆一
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釜本さんとともに戦ったメキシコ五輪・日本代表イレブンが別れを惜しんだ。「黄金の左足」と呼ばれ、左サイドからのクロスで釜本さんのゴールをアシストし続けた杉山隆一さん(84)、早大時代からの先輩だった松本育夫さん(83)、プライベートでも親交があったGK横山謙三さん(82)が、それぞれ日本史上最高のストライカーをしのんだ。
ここ数年は会う機会もなく、2年前に電話で(運転)免許を返納するという話をしました。最近は病気で、具合があまり良くないということも聞いていました。人生100年時代といいますが、80歳を過ぎるといろいろ出てきます。釜本なら、とも思っていましたが、この日が来てしまい、残念ですが、これも運命なのかもしれません。
とにかく釜本は凄かった。ここにボールを出して、という要求がとても厳しく、細かい一方で、そこにボールを出せば確実に決める。だから、こちらも正確なボールを出さなければ、となる。技術だけでなく、メンタルも強かった。良い意味での「ワンマン」でしたが、FWには必要な気質。現在の日本代表選手はボール扱いはとても上手ですが、釜本ほどの強さは感じません。あれだけの選手は見たことがありません。今もなお日本最高のストライカーと言っていいでしょう。
一番の思い出は、やはりメキシコ五輪です。(日本代表を指導した)クラマーさんの尽力のおかげでもありますが、みんなが全力を出し、3位決定戦で勝つことができたのは、日本サッカー界にとっても大きなことだったと思います。
釜本は、若い世代の指導にも取り組んでいました。サッカー関係者では私たちと同年代が少なくなってきており、私たちより年下の訃報に接する機会もあり寂しいですが、釜本の冥福を祈るとともに、私もできる限り、頑張らなければという思いを新たにしています。(元日本代表FW)
▽メキシコ五輪3位決定戦 日本は前半20分、40分に杉山のアシストから釜本が2得点。後半は大声援を背にした地元メキシコに猛反撃を受けたが、GK横山のPKセーブなどでしのぎ、2―0で勝利した。五輪のサッカーではアジア勢初となるメダルを獲得し、7得点の釜本は得点王となった。
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