ソウル・モビリティー・ショーでお披露目されたヒョンデの新型「NEXO」(4月3日、写真:AP/アフロ)
純正から代替品優先へ大胆な舵切り
2025年8月、韓国政府は自動車事故後の修理における部品選択基準を大きく改める新たな保険法案を発表し、社会に波紋を広げている。
この法案は、被害軽減や保険料の引き下げを目的に、従来の「純正部品(OEM部品)」優先ではなく、政府認証を受けた「代替部品(品質認証部品)」の使用を原則とする内容を盛り込んだものだ。
保険制度の持続可能性と消費者負担軽減を狙う政策背景の一方で、純正部品を求める消費者からは安全性や品質面での懸念、さらに自由な選択権が損なわれるとの不満も強まっている。
韓国の個人向け自動車保険は市場が成熟し、加入率も実質的に高止まりしている状況だ。
また電気自動車(EV)や電子化の推進など高度化する車両技術への対応も求められる中で、保険会社は修理費用の上昇が経営の負担となっている。
そこで政府は、事故修理時の高価な純正部品の多用を見直し、同等の安全基準を満たす代替部品の活用で修理費用と保険料引き下げを図ることを決めた。
これにより、保険料そのものの抑制や事故車の修理費用削減を促し、保険業界の財政健全化を目指すというものだ。
2025年8月16日に施行予定の改正法案では、以下のポイントが示されている。
●事故車修理において、政府が認証した品質基準をクリアした「代替部品」を優先的に使用する。
●ただし、新車から5年以内に事故を起こした車およびブレーキやステアリング、ホイールなどの安全に直結する部品は純正部品の使用を義務化。
●外装部品(バンパーやフェンダー等)は代替部品を原則としつつ、消費者が希望する場合には追加費用なしで純正部品を選択できる仕組みを導入。
●代替部品使用時には純正部品価格の25%相当額を保険会社が消費者に還付するインセンティブ制度を用意し、消費者の負担軽減と選択肢拡大を促進。
これらにより単なるコスト削減ではなく、安全性と消費者の選択権を両立させた「柔軟な部品使用方針」が設定された。

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