ロシアのプーチン大統領と米国のトランプ大統領は近く会談する?(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=63ドルから68ドルの間で推移している。OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)による増産決定などが重荷となり、価格のレンジ圏は先週に比べて3ドルほど低下した。

 まず原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。

 OPECプラスの有志8カ国は8月3日、9月の原油生産量を日量54万7000バレル増加させることを決定した。有志8カ国は2022年4月から日量220万バレル規模の自主減産を開始したが、今年4月から減産幅の縮小に転じた。

 当初は18カ月かけて生産量を巻き戻す予定だったが、その後、減産の縮小を加速し、1年前倒しで自主減産を終了することになる。

 OPECプラスは、9月に終わる日量220万バレルの自主減産とは別に、同166万バレル規模の自主減産と、参加国全体による同200万バレルの協調減産を来年末まで継続するとしている。市場では「9月7日の会合で日量166万バレルの自主減産の扱いが議論される」との憶測が流れており、さらなる増産が決定されることになれば、相場の下押し圧力になることは間違いないだろう。

 原油価格の下落というリスクを承知でOPECプラスが増産に舵を切った背景に、世界の原油市場に対するコントロールを取り戻す狙いがあるとの見方が一般的だ。だが、筆者は「OPECプラスの実質的な盟主であるサウジアラビアの窮状の方が影響は大きいのではないか」と考えている。

 サウジアラビアの国営石油企業サウジアラムコは5日に発表した第2四半期の決算で、10四半期連続の減益だったことを明らかにした。原油価格の下落が主な要因だ。減産しているのにもかかわらず、原油価格は昨年同時期に比べ約20ドル下落している。

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