公開日時 2025年08月08日 05:00更新日時 2025年08月08日 12:33

デニー知事、沖縄県予算の修正提訴せず 財政調整基金積み増し、5億円の利子負担増
記者会見で予算を巡る裁判はしないと発表する玉城デニー知事=7日、県庁

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稲福 政俊

 県が提出した2025年度一般会計予算案を県議会が修正議決した件を巡り、玉城デニー知事は7日の定例記者会見で、議決取り消しを求めて裁判所に訴えない考えを表明した。県は「長の予算の提出の権限を侵す」として、県議会の議決取り消しを求めて総務相に申し立てをしたが、総務相は棄却する裁定を出していた。裁定に不服があれば、県は裁判所に訴えることができた。

 県議会の予算修正は、臨時財政対策債の借換債増額により、県の貯金に当たる財政調整基金に58億円を積み増す内容。県側は増額された借換債58億円で5億円の利子負担を増やしてまで財源を増やすことなどを疑問視していた。野党多数の県議会は2月定例会で修正案を出し、賛成多数で議決した。

 総務相は、修正額は過大ではないなどとして県の申し立てを棄却する一方、県と議会の調整不足を指摘し、十分な予算審議を行うことを求める内容の付言を出していた。付言を受け、県議会は各派代表者会議を開き、付言を真摯(しんし)に受け止め、今後は議論を尽くすことを確認していた。

 玉城知事は、事業の必要性や緊急性、財源など基本的な予算編成の議論を欠いたまま修正されたことへの不満を残す一方、総務相の付言や付言を受けた県議会の対応などを考慮して、裁判をしない判断に至ったと説明。「今後は県民に開かれた本会議、委員会において、執行部と議会との間で議論を深め、妥当な結論を導き出せるよう期待する」と述べた。

 積み増された財政調整基金の使い道は確定していない。

(稲福政俊)

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