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7月の参院選ではSNSを駆使する参政党が躍進し、ドイツでは極右政党AfD(ドイツのための選択肢)が支持を伸ばすなど、世界的に右傾化が見られます。一方で、排外主義や極端な主張がもたらす分断は、ドイツ・ナチスの歴史を想起させる危うさもはらんでいます。SNSで氾濫するプロパガンダに、私たちはどう向き合ったらいいのでしょうか。ドイツ出身で長年日本に暮らしてきた著述家のマライ・メントライン氏が、『「あの戦争」は何だったのか』 (講談社現代新書)を上梓した評論家で近現代史研究者の辻田真佐憲氏に話を聞きました。4回に分けてお届けします。

【Part1】「あの戦争」と「日本人ファースト」、ドイツとの比較で考える「日本の保守」とは

【Part2】「教育勅語は良いことを言っている」は正しいか?そもそも日本の「保守」とは…必要なのは天皇の再定義

※JBpressのYouTube番組「マライ・メントラインの世界はどうなる」での対談内容を書き起こしたものです。詳細はYouTubeでご覧ください(収録日:2025年7月24日)

SNS時代に「バズる」政党、プロパガンダの末路

マライ・メントライン氏(以下:敬称略):今回の参院選で注目された参政党などはSNSを上手く活用していた印象があります。ドイツでは、AfD(ドイツのための選択肢)といった極右政党のほか、極左政党もSNS戦略が上手です。一方、中道政党は苦手な印象があります。

辻田真佐憲氏(以下:敬称略):日本も全く同じです。今回の参院選で参政党は「プロパガンダがうまかった」と言われていますが、私は手法だけの問題ではないと見ています。仮に自民党や立憲民主党が同じようにお金と時間をかけて、切り抜き動画を量産するような手法をまねしても支持は伸びていないでしょう。

 結局、カギはメッセージそのものに力があるかどうかです。SNSで支持を集めるのは、人々の不満にダイレクトにヒットするような単純な言葉です。

マライ:「外国人追い出せ」とか「消費税ゼロ」はダイレクトでわかりやすいですね。

辻田:一方で、石破茂首相や立憲民主党の野田佳彦元首相などは、そんな極端な発言はできませんよね。政治家としての責任感があるから、現実的な表現にならざるを得ません。でも、それは今のSNSではウケにくい。

 私はよく「プロパガンダは掛け算」と話しています。もともと不満があるところに、強いメッセージとなる「プロパガンダ」を掛け合わせて広げるんです。今回参政党が伸びた背景には、そもそも外国人に対して何らかの違和感を持っている人たちの存在があります。メッセージがうまく刺さったからこそ、支持も集まりました。

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