イタリア政府の「経済計画および持続可能な開発のための省庁間委員会(CIPESS)」は6日、同国本土と南部シチリア島を結ぶつり橋「メッシナ海峡大橋」の建設計画を承認した。 写真は5日、メッシーナで撮影(2025年 ロイター/Yara Nardi)
[メッシナ/ローマ 6日 ロイター] – イタリア政府の「経済計画および持続可能な開発のための省庁間委員会(CIPESS)」は6日、同国本土と南部シチリア島を結ぶつり橋「メッシナ海峡大橋」の建設計画を承認した。全長3.7キロで、完成すればトルコのダーダネルス海峡に架けられたチャナッカレ大橋を抜いて世界最長となる。
メッシナ海峡大橋の建設計画は、所得の低いイタリア南部を開発する手段として少なくとも1960年代終盤から議論されていたが、環境問題や財政面の懸念から何十年にもわたり先送りされてきた。
だがメローニ政権は建設計画を優先事項に掲げ、橋および関連施設の建設に向こう10年間で135億ユーロ(156億3000万ドル)の資金を割り当てた。
メローニ首相はローマで開かれたCIPESSの会合で「これは容易な任務ではないが、イタリアの現在および将来への投資になると考えている」と述べた。
計画を推進するメッシナ海峡会社によると、建設は2032年に完了する見通し。
建設計画は、地震が多い地域にこうした橋を建設することに疑念を抱く人々が強く反対してきた。建設コストの膨張や環境面への影響、建設契約にマフィアが入り込む事態を懸念する声も聞かれた。
一方で、シチリアを含むイタリア南部への経済効果に期待する人々からは建設に強い支持がある。
メッシナ海峡を運航するフェリーは現在、出発から到着まで約20分だが、自動車の積み込みや積み降ろしを含めると混雑時には数時間を要する。シチリア島と本土間を運行する鉄道も車両ごとフェリーに積み込まれて海峡を渡り、所要時間は2時間程度となっている。
イタリア政府は建設費用を防衛支出として計上する方針であり、2035年までに防衛支出を国内総生産(GDP)の5%に増やす北大西洋条約機構(NATO)加盟国の目標達成に寄与すると考えられる。
建設計画を国際入札で落札した企業連合「ユーロリンク」には、イタリアの建設大手ウィービルド(WBD.MI), opens new tabやスペインのサシール (SCYR.MC), opens new tab、日本のIHI(7013.T), opens new tabが参加している。
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