夏から初秋の京都で見られる珍しい花TOP画像

夏の花といえばひまわりが定番ですが、実は1日で色を変える花や絶滅危惧種に指定されている花なども咲いているのをご存知ですか? 今回は、8〜9月にかけて京都で見られる、ちょっぴり不思議で珍しい花をご紹介します。
※記事中の情報はすべて2025年8月時点のものです。見頃は気候によって前後することがあります。

絶滅危惧種にも指定されている日本固有種「トウテイラン」
【京丹後市】箱石浜海水浴場

例年の見頃:8月〜9月頃

トウテイラン

画像提供:京丹後市観光公社

「トウテイラン(洞庭藍)」は、まるで中国の洞庭湖(どうていこ)の水を映したような青紫色の小さな花が穂状に連なって咲く多年草です。この花は日本の固有種で、自生しているのは山陰海岸の砂丘や隠岐島の限られた地域だけ。その希少性から、環境省の絶滅危惧種にも指定されているんですよ。

トウテイラン

画像提供:京丹後市観光公社

京丹後市では市の花として認定されており、久美浜町の箱石浜海水浴場では自生するトウテイランを見ることができますよ。砂浜はまだまだ日差しが強いので、暑さ対策を忘れずに、希少なトウテイランを見に訪れてくださいね。

■■INFORMATION■■

京丹後市観光公社
京丹後市網野町網野367 アミティ丹後1F
TEL:0772-72-6070
時間:8:30〜17:15
休み:日曜日

 

平等院創建当時の風景で見る「サルスベリ」
【宇治市】平等院

例年の見頃:8月〜9月上旬頃

サルスベリ

画像提供:平等院

サルも木から滑り落ちそうなほど、滑らかな樹皮をもつ「サルスベリ」は、夏から秋にかけて赤や白、紫色の花を咲かせる落葉高木。約100日に渡って花を咲かせることから、漢字では「百日紅」と書くんですよ。社寺や街路樹などで馴染みのある木ですが、ぜひおすすめしたいのが平等院で見るサルスベリです!

サルスベリ

画像提供:平等院

かつて行われた発掘調査では、鳳凰堂前に広がる阿字池の底にある、940(天慶3)頃の地層からサルスベリの花粉が検出されています。このことから、創建当時からサルスベリが植えられていたのではないかと考えられています。
現在、境内にあるサルスベリは当時のものではありませんが、池の南側から鳳凰堂を背景にサルスベリの花を眺めると、藤原頼通の時代と変わらない風景を目にすることができますよ。

平等院について詳しく解説した記事はこちら▼

 

■■INFORMATION■■

平等院
宇治市宇治蓮華116
TEL:0774-21-2861
拝観時間(庭園):8:45〜17:30(17:15受付終了)
拝観料:大人700円、中学生400円、小学生300円

 

まるで酔っ払ったようにピンクに染まる「酔芙蓉」
【京都市】妙蓮寺

例年の見頃:9月下旬〜10月中旬頃

酔芙蓉

画像提供:妙蓮寺

秋のお彼岸の頃から最盛期を迎える「酔芙蓉(すいふよう)」は、朝に白い花が咲き、夕方にはまるでお酒に酔っているかのようなピンク色へと変化することから、名付けられた芙蓉の変種です。
そんな酔芙蓉を見られるのが、京都市の西陣にある妙蓮寺です。
酔芙蓉は1日花ですが、お彼岸の頃には前日の花が落下せずに、ピンク色の状態で残っているため、全盛期には白と赤が咲いている華やかな様子を見ることができます。

くす玉酔芙蓉

画像提供:妙蓮寺

中でも5つくらいの花が一つのまとまったくす玉酔芙蓉は珍しく、それぞれの花が時間差で咲くことから、白から濃い赤のグラデーションのように見えるのが特徴です。

芙蓉

画像提供:妙蓮寺

酔芙蓉の見頃は9月下旬頃からですが、妙蓮寺の境内では6月下旬から12月頃にかけて濃い紅色をした妙蓮寺紅芙蓉(写真)や、薄いピンク色が可愛い圓常院紅芙蓉など、様々な芙蓉の花が咲き、酔芙蓉と合わせて楽しむことができますよ。

■■INFORMATION■■

妙蓮寺
京都市上京区寺之内通大宮東入ル
TEL:0774-451-3527
拝観時間:10:00〜16:00
拝観料:境内自由 ※方丈・庭(500円)、宝物殿(300円)は別途拝観料と予約が必要。
休み:水曜日・年末年始 ※年間行事などで拝観できない場合があります。詳しくはHPでご確認ください。

 

観覧温室を巡りながら探す珍しい花
【京都市】京都府立植物園

例年の見頃:奇想天外(初夏〜秋)、グラマトフィルム スペキオスム(数年に1回)、ヒメノカリス・スペキオサ(初夏〜夏頃)、チユウキンレン(初夏〜秋頃)

奇想天外とグラマトフィルム スペキオスム

画像提供:京都府立植物園

昨年100周年を迎えた京都府立植物園にある日本最大級の「観覧温室」では、回遊式に8つの部屋を巡りながらさまざまな熱帯植物に出合うことができます。
砂漠サバンナ室で見られる「奇想天外」(写真上)は、2枚の葉だけを伸ばし続ける独特の形態が特徴の植物。アフリカのアンゴラ及び、ナミビアのナミブ砂漠に分布しており、なんと最長で2000年以上も生き続けるといわれています。株ごとに雌雄が分かれる雌雄異株で、松かさのような花が初夏から秋にかけて開花します。
ラン室では、草丈7メートルを超えることもある世界最大のラン「グラマトフィルム スペキオスム」(写真下)を見ることができますよ。黄色に赤褐色の斑点を持つ花を咲かすことから、タイガーオーキッドとも呼ばれています。実はこの花、開花するのは数年に1回! 開花のタイミングで見られたらかなりラッキーな花だそうです。

ヒメノカリス・スペキオサとチユウキンレン

画像提供:京都府立植物園

初夏から夏にかけて開花し、バニラのような甘い香りを放つ、直径20センチほどの大きな白い花が特徴の「ヒメノカリス・スペキオサ」(写真上)は西インド諸島原産の多年草。細長く伸びる花弁がクモの足に似ていることから、スパイダーリリーとも呼ばれています。こちらはジャングル室で見ることができます。
温室以外にも珍しい花がありますよ。初夏から秋に咲く「チユウキンレン」(写真下)は、30センチほどの大きな黄金色の花のように見える苞(ほう=蕾などを包んで保護する葉)が300日間も咲き続けます。かつては滅多に咲かなかったことから、「幻の珍花」とも呼ばれていました。中国南部からインドシナ半島の山地に自生しており、金色の蓮が地面から湧いたように見えることから中国では「地湧金蓮」と書かれます。園内の各所でみることができるので、散策しながら探してくださいね。

京都府立植物園について詳しく解説した記事はこちら▼

■■INFORMATION■■

京都府立植物園
京都市左京区下鴨半木町
TEL:075-701-0141
開園時間:9:00~17:00(入園は16:00まで)
料金:一般500円、65歳以上・高校生250円、中学生以下無料
休み:12月28日~1月4日

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